2003 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌の粘膜感染を決定するエフェクター蛋白質と宿主因子の相互関係の解明
Project/Area Number |
14021011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹川 千尋 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70114494)
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Keywords | 感染 / 感染症 / 細菌 / 赤痢菌 / オートファジー / 病原性 |
Research Abstract |
赤痢菌の感染成立における、IcsBとIpaHエフェクターの役割を明らかにする目的で以下の研究を行った。宿主細胞内でicsB変異株の周囲にはオートファゴゾームのマーカーが集積する一方、3-MA、ワートマニン、バフィロマイシンA1により菌体周囲へのマーカーの集積は阻害された。さらに、オートファジーを亢進させた細胞内のオートファジーに捕捉されるicsB変異株の割合は増加していた。以上からIcsBは、赤痢菌のオートファジー貪食からの回避に関わるエフェクターであることが示唆された(論文準備中)。IpaH9.8は細胞内に侵入した赤痢菌から分泌され核内に移行する。ipaH9.8変異株をマウス肺に感染させると、ipaH野生株に比べ炎症が著しく亢進した。two-hybrid法を利用して、IpaH9.8の標的宿主因子をスクリーニングした結果、スプライシング因子の一つU2AF35と結合した。U2AF35によるIgM遺伝子スプライシングへのIpaH9.8の影響を調べると、その反応はIpaH9.8濃度依存的に阻害された。HEK293T細胞にIpaH9.8発現プラスミドとNF-κB-luciferaseレポータープラスミドあるいはIL-6-luciferaseレポータープラスミドを導入したところ、NF-κBの転写量は変わらなかったが、IL-6の転写量は低下した。一方、RNAiによりU2AF35発現をノックダウンすると、ikki遺伝子発現は低下し、C/EBPδの活性化が抑制されるとともに、IL-6、RANTES、IL-1β遺伝子の発現量も抑制されていた。これらの結果は、IpaH9.8が宿主細胞の核内でU2AF35と結合し、ikki遺伝子のpre-mRNAのスプライシング異常を引き起こす結果、一連の炎症性サイトカインの産生を菌自ら抑制する能力を有していることが明らかとなった(論文投稿中)。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoshida, S., Sasakawa, C.: "Exploiting host microtubule dynamics : a new aspect of bacterial invasion."Trends in Microbiol.. 11. 139-143 (2003)
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[Publications] Ogawa, M., et al.: "IcsB, secreted via the type III secretion system, is chaperoned by IpgA and required st the post-invasion stage of Shigella pathogenicity."Mol.Microbiol.. 48. 913-931 (2003)
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[Publications] Tanaka J., et al.: "Structural definition on the surface of Helicobacter pylori type IV secretion apparatus."Cell.Microbiol.. 5. 395-404 (2003)
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[Publications] Honma, Y., et al.: "Comparison of antimicrobial susceptibility between invasive and non-invasive Shigella organisms."Int.J.Antimicrobial Agen.. 21. 262-266 (2003)
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[Publications] Jang, M-H.et al.: "Intestinal villous bacterial translocation island : A new antigen entry site in the mouse epithelium."Proc.Natl.Acad.Sci.USA.. (in press). (2004)