2004 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス:ゲノム・パッケージングのメカニズム
Project/Area Number |
14021013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河岡 義裕 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70135838)
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Keywords | インフルエンザウイルス / ゲノムRNA / ゲノムパッケージング |
Research Abstract |
A型インフルエンザウイルスは8本に分かれたRNA分節をゲノムとして持ち、それらのRNA分節はウイルスが効率よく増殖するために必要な蛋白質をコードしている。8本に分かれたRNA分節がどのようなメカニズムでウイルス粒子内に取り込まれるかに関しては長年明らかにされていなかったが、我々は昨年までに、HA、NA、NS RNA分節の取り込みにはそれぞれのRNA分節の蛋白質コード領域が必要であること、すなわちそれぞれのRNA分節には分節に特異的なパッケージングシグナルが存在することを明らかにした。 本年度はPB2、PB1、PA RNA分節に関して、ウイルス粒子への取り込みに必要な領域をリバースジェネティクス法を用いて同定した。また同時に、それらPB2、PB1、PA RNA分節が、ウイルス粒子形成効率に与える影響に関しても検討した。 その結果、PB2、PB1、PA RNA分節においても、コード領域を持たない変異RNA分節はほとんど取り込まれなかったのに対し、それぞれRNA分節のコード領域両末端(特にPB2分節の3'側30塩基、PB1分節の3'側12塩基および5'側12塩基、PA分節の3'側12塩基および5'側21塩基)が存在するとRNA分節が効率よくウイルス粒子内に取り込まれることが明らかになった。また、それぞれのRNA分節のコード領域両末端を短くすると、感染性のあるウイルス粒子の形成効率が低下することが明らかになった。以上の結果から、インフルエンザウイルスのゲノムRNA分節は選択的にウイルス粒子内に取り込まれること、また、感染性ウイルス粒子の形成に各分節のコード領域両末端が関与することが考えられる。
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Research Products
(7 results)