2005 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス:ゲノム・パッケージングのメカニズム
Project/Area Number |
14021013
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
河岡 義裕 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70135838)
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Keywords | ウイルス / インフルエンザウイルス / ゲノム / パッケージング / リバース・ジェネティクス |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスは8分節に分かれたRNAを遺伝子として持つ。そのウイルス粒子は球状、フィラメント状など多形性を示すが、これらの粒子が8分節化したゲノムRNAを粒子内部に取り込むメカニズムはわかっていなかった。我々はこれまでに、7種類のRNA分節(PB2,PB1,PA,HA,NA,M,NS)において、分節特異的なパッケージング配列が存在することを明らかにした。本年度は、残る1分節(NP)のパッケージング配列の同定と、パッケージング配列がウイルス粒子形成効率に及ぼす影響、ならびにウイルス粒子内におけるRNA蛋白質複合体の存在様式を調べた。 NP分節のパッケージング配列は、他の分節と同様に、翻訳領域の両末端に存在した。 インフルエンザウイルスゲノム8分節のうち、1分節を欠損させ、残りの7遺伝子分節発現プラスミドと欠損させた遺伝子がコードする蛋白質を発現させるプラスミドを使ってウイルス様粒子をリバースジェネティクス法により作製したところ、すべての遺伝子分節の場合で、8遺伝子分節発現プラスミドを使ってウイルスを作製した場合よりも、形成された感染性粒子数が少なくなった。また、1遺伝子分節のパッケージング配列を欠損させたミュータント遺伝子分節と残りの7分節を発現させてウイルス粒子を作製したところ、8分節を発現させた場合よりも形成された感染性粒子数は少なく、その数は、7遺伝子分節を発現させた場合と同程度だった。さらに、その数は、PB2遺伝子分節を欠損させた場合に最も減少した。したがって、インフルエンザウイルスのパッケージング配列は感染性粒子形成に重要であること、また、その重要性は遺伝子分節によって異なることが明らかになった。 また、細胞から出芽するウイルス粒子を超微細形態的に観察したところ、8本のRNA蛋白質複合体が規則的な配置(中心1+周囲7)で取り込まれることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)