2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14021038
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯島 信司 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00168056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西島 謙一 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10262891)
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Keywords | ストレプトコッカスアガラクチャ / 夾膜多糖 / シアル酸 / TLR / Sigles / レクチン / 免疫 / 感染 |
Research Abstract |
病原性Streptococcusの感染により、世界規模では乳幼児、高齢者を中心に毎年数百万人レベルで死者が出ており、その病原性に関する研究はきわめて重要である。このためS.pneumoniaeをはじめいくつかの菌において來膜多糖と病原性、特に免疫回避機構に関する研究が進みつつある。我々は、Streptococcusについて來膜多糖の研究をつづけているが、これらのうちGroupB Streptococcusに属するS.agalactiaeの多くの株は、シアリルラクトサミンを単位とする重合糖鎖を持つ。最近発見されたシアル酸結合レクチンであるSiglecは、シアル酸含有糖鎖を認識し、抑制性シグナルを伝えるレセプターに共通の配列ITIM (immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif)を細胞内ドメインに持つ阻害型の膜レセプターである。Siglecはシアル酸を持つ細菌の免疫回避メカニズムとの関わりが推測されているが、その実証はなされていない。一方、細菌感染に対する免疫機構としては、マクロファージなどによる自然免疫が重要であり、これらはToll-like receptorからの刺激により活性化される。さらに、活性化マクロファージや樹状細胞がCD4陽性細胞を活性化して獲得免疫が作動する。本研究では、これらマクロファージなどによる自然免疫の活性化や獲得免疫の作動を、S.agalactiaeの糖鎖がSiglecを通して阻害し免疫回避をはかっている可能性を検討することを目的とした。まずS.agalactiaeによる免疫活性化の例としてナチュラルキラー細胞の活性化を検討したところ、Ia、Ib糖鎖とも強い活性化能を示した。次にS.agalactiae菌体がSiglecに結合するかどうかを検討した。このためにS.agalactiae Ia、Ib菌体を^<35>Sで標識し、培養CHO細胞に対する結合能を検討した。その結果、S.agalactiae Ia菌体がSiglec 5,9いずれの発現細胞にも結合することが示された。これは、Siglec 5,9とIa莢膜多糖の構成ユニットである3'-シアリルラクトサミンが結合するという合成糖鎖を用いた報告と一致するものと考えられる。
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