2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14021056
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩田 達雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00187329)
|
Keywords | HIV-1 / ケモカイン / ケモカインレセプター / サイトカイン / 遺伝的多型 / 病態進行 |
Research Abstract |
HIV-1は宿主域が狭く人以外に感染する動物はチンパンジーのみで、アフリカミドリザル等の旧世界ザルには感染しない。従って感染予防ワクチンの有効性を実験的に検定することが大変難しく、ワクチン開発の大きな障害となっている。HIV-1はレセプターCD4とコレセプターCCR5あるいはCXCR4が存在しても旧世界サルの細胞には感染できず、水疱性口内炎ウイルスの外被膜糖蛋白質(VSV-G)を用いて細胞侵入をさせてもそれ以降の過程が効率良く進行しない。旧世界サルの細胞にはHIV-1の細胞侵入直後の過程を阻害する因子が少量存在するものと考えられている。そこで旧世界ザルの細胞に存在するHIV-1感染抵抗性因子の同定を試みた。 旧世界ザルよりもさらにヒトから遠いハムスター由来TK-TS13細胞にVSV-Gを用いてHIV-1を感染させた場合には阻害は観察されず、少なくともウイルス遺伝子の発現までは進行する。そこで、アフリカミドリザル細胞の全ゲノムDNAを、チミジンキナーゼ活性陰性のTK-TS13細胞に導入し、その後チミジンキナーゼ遺伝子を発現するHIV-1をVSV-Gで感染させ、BudR存在下で感染を免れた細胞を選別した。そして、生き残った細胞株にGFPを発現するHIV-1(HIV-1/GFP)をVSV-Gで感染させ、感染抵抗性を獲得したか否かを検討した。その結果、一部のBudR耐性細胞ではHIV-1/GFPの感染効率も低下していた。旧世界サル細胞をサイクロスポリンAで処理するとHIV-1感染感受性が回復することが最近報告されたが、今回得られたHIV-1/GFP感染感受性の低下した細胞をサイクロスポリンAで処理すると、旧世界ザル細胞と同様に、HIV-1/GFPの感染感受性が回復した。以上の結果から、サル細胞の持つHIV-1感染抵抗性をDNAトランスフェクションによりハムスターの細胞に付与できたことが示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Jun-Ichi Sakuragi, Shigeharu Ueda, Aikichi Iwamoto, Tatsuo Shioda: "Relationship between dimerization and packaging of HIV-1 genome RNA ; a possible role of dimerization in genome packaging."J.Virol.. 77. 4060-4069 (2003)
-
[Publications] Matano T, Kano M, Takeda A, Nakamura H, Nomura N, Furuta Y, Shioda T, Nagai Y: "No significant enhancement of protection by Tat-expressing Sendai viral vector-booster in a macaque AIDS model."AIDS. 17. 1392-1394 (2003)
-
[Publications] Nakayama, E.E., Tanaka, Y., Nagai, Y., Iwamoto, A., Shioda T.: "A CCR2-V64I polymorphism affects stability of CCR2A isoform."AIDS. 18(In press). (2004)