2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14021056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩田 達雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00187329)
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Keywords | HIV-1 / ケモカイン / ケモカインレセプター / サイトカイン / 遺伝的多型 / 病態進行 |
Research Abstract |
本研究は、網羅的なゲノム多型解析(ゲノムワイドスキャン)により、HIV-1感染感受性やエイズ発症の個人差に関わる宿主因子を解明し、HIV-1感染阻止ならびにエイズ発症阻止のための新たな治療標的を見い出し、個人差に対応した緻密で適切な予後診断および治療指針の策定を目指す。本年度は約100名のHIV-1感染者についてDNAチップを利用したゲノムワイドスキャンを行ってHIV感染症との関わりが明らかなものからHIV感染症との関連が全く不明なものまで一万箇所以上の一塩基多型を網羅的に検討し、病態進行速度と関連する可能性の高い10個の候補遺伝子多型を見出した。現在、より多数のHIV-1感染者集団においてこれら候補遺伝子多型と病態進行速度との間に相関が認められるか否かの検討を行っている。 一方、HIV-1はアフリカミドリザル、カニクイザル、アカゲザル等の旧世界サルには感染せず、ワクチン開発の上で大きな障害になっている。アカゲザル、カニクイザルにはSIVmacが感染できるが、アフリカミドリザルにはHIV-1のみならずSIVmacも感染できない。最近、アカゲザルのTRIM5αがHIV-1感染抵抗性因子であるとの報告がなされた。カニクイザルのTRIM5αとアフリカミドリザルのTRIM5αをヒト細胞に導入したところ、カニクイザルのTRIM5αがHIV-1のみの感染を阻害し、SIVmacの感染を阻害しなかったが、アフリカミドリザルのTRIM5αはHIV-1とSIVmacの両者を阻害した。カニクイザルのTRIM5αとアフリカミドリザルのTRIM5αのキメラを作成したところ、アフリカミドリザルのTRIM5αのB30.2領域内に存在するアフリカミドリザル特異的な20アミノ酸の重複がSIVmacを阻害する能力に必須であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)