2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14021056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩田 達雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00187329)
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Keywords | HIV-1 / ケモカイン / ケモカインレセプター / サイトカン / 遺伝的多型 / 病態進行 |
Research Abstract |
RANTES(CCL5)はCCR5の生理的リガンドで、HIV-1の外被膜糖蛋白質gp120のCCR5への結合を競合的に阻害する。我々は先に、RANTESプロモーター内多型RANTES-28Gが、RANTES遺伝子のプロモーター活性を上昇させ、日本人HIV-1感染者集団においてCD4陽性細胞数の減少速度の遅い感染者に多く見出されることを報告してきた。しかし、この多型は白色人種や黒色人種には殆ど認められず、日本人以外のアジア人HIV-1感染者における解析が待たれていた。また、白色人種や黒色人種においては、エイズ発症に促進的に働くことが報告されている多型RANTES-403Aのアジア人における効果も不明であった。そこでタイ国ランパンのHIV-1感染者コホートにおいてこれらRANTES-28ならびにRANTES-403の遺伝子多型を解析し、2000年7月から、2003年10月までの追跡結果を踏まえ、これらの遺伝子多型がタイにおいてもHIV-1感染症の進行に影響を及ぼすか否か、を検討した。その結果、RANTES-28Gを持つ感染者が未治療の期間、有意に高い生存率を示した(P=0.043)。一方、RANTES-403AはRANTES-28Gと強い連鎖不平衡にあるため、感染者を(1)RANTES-28G、RANTES-403Aいずれも持たない者、(2)RANTES-403Aを持つがRANTES-28Gを持たない者、(3)RANTES-28Gを持つ者、の3群に分けたところ、(2)は(1)、(3)と比較して有意に生存率が低かった(P=0.004)。以上の結果から、タイにおいても、RANTES-28GはHIV-1感染症の病態進行の遅延と相関し、RANTES-28Gを伴わないRANTES-403Aは病態進行を促進させることが、明らかになった。
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Research Products
(4 results)