2002 Fiscal Year Annual Research Report
感染病態形成におけるフリーラジカル病因論に関する研究
Project/Area Number |
14021096
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
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Keywords | ウイルス感染病態 / フリーラジカル病因論 / NO / 8-ニトログアノシン / パーオキシナイトライト / 活性酸化窒素 / 塩基損傷 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
本年度の研究においては、特に、NOによる生体内での核酸ニトロ化反応に焦点をあて、ウイルス感染病態の解析を行った。具体的には、核酸塩基グアニンのパーオキシナイトライトなどの活性酸化窒素種によるニトロ化産物である8-ニトログアノシンの抗体を作製し、インフルエンザウイルス感染モデルにおける8-ニトログアノシン生成を検討した(Akaike et al.,PNAS,100:685-690,2003)。さらに、8-ニトログアノシンの生体内生成を介する毒性発現のメカニズムをその酸素ラジカル産生能に注目して解析を行った。研究成果は以下の通りである。 (1)8-ニトログアノシンの大量有概合成法を確立し、抗体作成および8-ニトログアノシンの感染病態における生体内生成とその生物効果の解析に供した。常法により、8-ニトログアノシン特異的ウサギポリクローナルおよびマウスモノクローナル抗体を作成した。 (2)本抗体を用いて、マウスインフルエンザウイルス肺炎モデルにおける8-ニトログアノシンの生体内生成を免疫組織化学的に解析した。その結果、インフルエンザウイルス感染マウスの肺組織において、誘導型NO合成酵素(iNOS)の発現に伴って、気管支・細気管支上皮細胞と一部の滲出マクロファージに濃染像が認められた。一方、正常マウスおよびiNOS欠損マウス肺では、染色像は確認出来なかった。また、抗8-ニトログアノシンのモノクローナル抗体を用いた免疫細胞化学染色により、サイトカイン刺激によりiNOSを発現したRAW 264細胞(マウスマクロファージ様細胞株)や、iNOS遺伝子を強制発現させたCOS-1細胞においても、著明な8-ニトログアノシン生成が確認された。これらの知見より、ウイルス感染病態における8-ニトログアノシンの生体内生成が明らかになった。 (3)NO生成を介して産生される8-ニトログアノシンは、強力な化学的反応性(レドックス活性)を有していることも分かってきた。すなわち、8-ニトログアノシンは、生体内に豊富に存在するNADPH依存性還元酵素、例えば、P450 reductaseやiNOSを含めたすべてのNOSアイソフォーム(血管型eNOS,神経型nNOS)により-電子還元されることにより活性化され、8-ニトログアノシンラジカルに変換し、さらに、溶存酸素を-電子還元し著明なスーパーオキサイド産生をもたらすことが明らかになった。このことは、8-ニトログアノシンが感染病態における酸化ストレスのメディエーターであることを示唆している。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Akaike, T. et al.: "8-Nitoroguanosine formation in viral pneumonia and its implication for pathogenesis"Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.. 100. 685-690 (2003)
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[Publications] Fang, J. et al.: "In vivo antitumor activity of pegylated zinc protoporphyrin based on targeted inhibition of heme oxygenase-1 in solid tumor"Cancer Res.. (in press). (2003)
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[Publications] Tanaka, S. et al.: "Antiapoptotic effect of haem oxygenase-1 induced by nitric oxide in experimental solid tumour"Br.J.Cancer. (in press). (2003)
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[Publications] Alam, M.S.et al.: "Host defense role of nitric oxide in murine salmonellosis as a function of its antibacterial and antiapoptotic activities"Infect.Immun.. 70. 3130-3142 (2002)
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[Publications] Okamoto, T. et al.: "S-Nitrosothiols inhibit cytokine-mediated induction of MMP-9 in airway epithelial cells"Am.J.Respir. Cell Mol.Biol.. 27. 463-473 (2002)
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[Publications] Wu, J.et al.: "Identification of bradykinin receptors in clinical cancer specimens and murine tumor tissues"International J.Cancer. 98. 29-35 (2002)
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[Publications] Fang, J. et al.: "Tumor-targeted delivery of PEG-conjugated D-amino acid oxidase for antitumor therapy via enzymatic generation of hydrogen peroxide"Cancer Res.. 62. 3138-3143 (2002)
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[Publications] Sahoo, S.K.et al.: "Pegylated zinc protoporphyrin : a water-soluble heme oxygenase inhibitor with tumor-targeting capacity"Bioconjugate Chem.. 13. 1031-1038 (2002)
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[Publications] 赤池孝章: "感染症の病態を操る分子:NO-感染症におけるNOの役割"医学のあゆみ. 204(9). 702-706 (2003)
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[Publications] 赤池孝章: "呼吸器疾患おける酸化・ニトロ化ストレス"呼吸. 22(3)(印刷中). (2003)
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[Publications] 赤池孝章: "感染症とNO"麻酔. 50(増刊). S24-S30 (2002)
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[Publications] 赤池孝章: "フリーラジカルと呼吸器感染症"分子呼吸奇病. 6. 27-36 (2002)
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[Publications] 赤池孝章: "NOによる感染防御と病態形成のメカニズム.柳 雄介, 植田浩次, 高月 清, 西村泰治 編.感染症研究の新戦略-第25回阿蘇シンポジウム記録"南山堂(東京). 97-105 (2002)