2002 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫抗原多型の進化に関する分子集団遺伝学的研究
Project/Area Number |
14021125
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田辺 和裄 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40047410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 明 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (60169563)
服部 哲也 大阪工業大学, 工学部, 講師 (00288755)
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Keywords | マラリア / Plasmodium falciparum / Plasmodium vivax / 遺伝子 / 多型 / MSP-1 / 進化 |
Research Abstract |
1.熱帯熱マラリア原虫メロゾイト表面抗原PfMsp-1遺伝子多型の保存性 南太平洋バヌアツの熱帯熱マラリア原虫集団は遺伝的多様性に乏しく、組換え頻度も極度に低い。バヌアツ原虫集団に見られるこの特異な集団遺伝学的状況は新しい抗原多型の発生速度の推定に適すると思われる。バヌアツ4島において採取した約140株についてワクチン候補抗原であるPfMsp-1遺伝子(約5kb)多型を、ミトコンドリアゲノム及びクロロキン耐性トランスポーター遺伝子Pfcrtの多型解析とともに行った結果、PfMsp-1遺伝子の多型がバヌアツ内部で発生したのではなく外来性起源であり、バヌアツでは少なくとも過去20年間PfMsp-1遺伝子の新たな点突然変異の集団内固定は起こっておらず、熱帯熱マラリア原虫の抗原多型が比較的短期間には発生するものではないことが示唆された。 2.三日熱マラリア原虫メロゾイト表面抗原(PvMsp-1)遺伝子の多型解析 三日熱マラリア原虫ワクチン候補抗原MSP-1の遺伝子(PvMsp-1)多型の全貌を解明するため、アジア、南米等で得た60株について多型解析を行った。その結果、PvMsp-1は遺伝子構造においてPfMsp-1に似るが、組換え部位が遺伝子全長に分布し、また、その組換え頻度が遺伝子内の領域に依存して異なる点で極めてユニークであることが判明した。タイの三日熱マラリア原虫集団ではPvMsp-1内多型部位間の連鎖不平衡が塩基距離に応じて急速に減少した。これは、三日熱マラリア原虫がマラリア伝播度の低い地域に分布しているにもかかわらず、高い組換え能力を有していることを示す。以上の結果は、三日熱マラリア原虫の抗原多型が熱帯熱マラリア原虫とは進化的にも寄生生物学的にもかなり異なることを意味する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Tanabe, N, Sakihama, A.Farnert, I.Rooth, A.Bjorkman, D.Walliker, L.Ranford-Cartwright: "In vitro recombination during POR of Plasmodium falciparum DNA : a potential pitfall in molecular population genetic analysis"Molecular and Biochemical Parasitology. 122. 211-216 (2002)
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[Publications] C.Putaporntip, S.Jongwutiwes, N.Sakihama, M.U.Ferreira, W.G.Kho, A.Kaneko, H.Kanbara, T.Hattori, K, Tanabe: "Mosaic organization and heterogeneity in frequency of allelic recombination of the Plasmodium vivax merozoite surface protein-1 locus"Proceedings of the National Academy of Scieces USA. 99. 16348-16353 (2002)