2004 Fiscal Year Annual Research Report
パターン認識受容体を介して誘導されるIL-18依存性アトピー性皮膚炎の病態解析
Project/Area Number |
14021126
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
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Keywords | アレルギー / アトピー性皮膚炎 / 自然型アトピー / IL-4 / IgE / IL-13 / IFN-γ |
Research Abstract |
従来と全く異なる、アトピー性皮膚炎の発症機序を明らかにした。表皮細胞から恒常的に大量のIL-18が分泌されるように遺伝子設計したマウス(KCASP1Tg)は、自然にアトピー性皮膚炎を呈する。このマウスからSTAT6遺伝子を除去しても皮膚炎は不変であったが、Il18を除去すると皮膚炎を免れた。従って、このアトピー性皮膚炎においては、Th2は不必要で、IL-18が必須であることが明らかとなった。我々は、このようなアトピーを、従来の「アレルギー型アトピー症」に対峙して、「自然型アトピー症」と命名した。次に、炎症型アトピー性皮膚炎マウスモデルを作製した。アトピー性皮膚炎の増悪化に黄色ブドウ球菌感染が関与する。種々の黄色ブドウ球菌構成成分を表皮細胞培養系に加えてIL-18の分泌を検討したところ、プロテインA (SpA)にその活性が認められた.実際、SpAをマウスの皮膚に塗布することで、血清IL-18値の増加が誘導され、さらに血中のIgE値も顕著に上昇した(Nakano H.et al. Int.Immunol. 2003;15:611)。しかし、皮膚炎は発症しなかった。そこで、表皮バリアを界面活性剤(SDS)で破壊後、SpAを塗布したところ、アトピー性皮膚炎類似の病変が誘導できた。特に、ADを発症しやすいNC/Ngaマウスにこのような処置を施したところ、重度のAD様皮膚炎が誘導された。表皮は肥厚し、真皮には好中球、好酸球、マスト細胞、リンパ球が高度に浸潤した。血清IL-18濃度は上昇したが、IgE上昇はなかった。所属リンパ節では、IFN-γ,IL-13,TNFαを産生するSpAに反応するT細胞が増加していた。また、リンパ節の樹状細胞はIL-12とIL-18を産生していた。この結果、SpA抗原特異的なTh1細胞は抗原とIL-18で刺激され、Th1サイトカインのみならず、アレルギー性応答を担うエフェクター分子であるIL-13,TNFαや種々のケモカインを大量に産生することが判明した。
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Research Products
(7 results)