2002 Fiscal Year Annual Research Report
新たに発見したPAプロテアーゼを標的とした抗インフルエンザウイルス薬の開発
Project/Area Number |
14021127
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
原 好勇 久留米大学, 医学部, 講師 (40309753)
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Keywords | インフルエンザウイルス / RNAポリメラーゼ / PAサブユニット / プロテアーゼ / マトリックスタンパク質 / 相互作用 / 活性阻害 / リバースジェネティクス |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼ・PAサブユニットに存在するプロテアーゼ活性が、ウイルス複製にどのような役割を果たしているか、また新規抗インフルエンザウイルス薬の標的となりえるかについて検討した。本年度はPAのプロテアーゼ活性部位を欠失したノックアウトウイルス「S624A」を作製し、培養細胞系でのウイルス増殖能およびマウスに対する病原性について調べた。 1)S624Aの培養細胞における増殖能について インフルエンザウイルスWSN株(H1N1)のPAプロテアーゼ活性部位であるセリンをアラニンに置換した変異ウイルス「S624A」を、リバースジェネティクス法により作製した(Brownlee G. G. et al.,Oxford Univ.との共同研究)。これを、MDBK細胞に接種し培養したところ、CPEの進行がWTより少し遅れる傾向を示し、またウイルスの増殖レベルはWTより常に2〜4倍低い値を示した。一方、ウイルス増殖の安定性を調べるため、ウイルスの継代をMDBK細胞で繰り返してみたところ、不完全ウイルス粒子の産生はみられなかった。 2)S624Aの遺伝子の転写・複製能について インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼの転写活性を定量化するため、ルシフェラーゼ遺伝子をレポーターとしてNS遺伝子内に挿入し、これをPB1、PB2、PA、NPと同時に発現させ、ルシフェラーゼの発現量により転写活性を測定した。その結果、PAプロテアーゼ活性部位を別のアミノ酸(S624A)に置換しても転写活性に影響は見られなかった。また、mRNA、cRNA、vRNAの合成量についても影響はみられなかった。 3)S624Aのマウスに対する病原性について S624Aをマウスに経鼻接種し、個体レベルでのS624Aの増殖能および病原性について検討した。その結果、S624Aの病原性はWTと比較して若干低下する傾向がみられた(S624A; LD_<50>=10^<4.6>PFU、WT; LD_<50>=10^<4.0>)。また、マウス肺におけるウイルス増殖能にも若干の低下が見られた。 以上の結果から、PAのプロテアーゼ活性はウイルス増殖に必須ではないが、ウイルス増殖を最大限に引き出すために必要な活性であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Toyoda T., Hara K., Kashiwagi T., Iwahashi J., Honda H., Hamada N.: "Molecular dissection of the transcription and replication machinery of influenza virus"Recent Advances in Influenza Virus Research. 1. 1-13 (2002)
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[Publications] Hara K., Shiota M., Kido H., Oht su Y., Kashiwagi T., Iwahashi J., Hamada N., Mizoue K., Tsumura N., Kato H., Toyoda T.: "Influenza virus RNA polymerase PA subunit is a novel serine protease with Ser624 in the active site"Genes to Cells. 6. 87-97 (2001)
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[Publications] Hara K., Kido H., Toyoda T.: "Protease activity of influenza virus RNA polymerase PA subunit"In 'Options of the control of influenza IV', ICS 1219 (Albert D. M. E. Osterhaus, et al. eds.), Elsevier, Amsterdam. 1219. 479-485 (2001)
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[Publications] 豊田哲也, 原 好勇: "インフルエンザウイルスの構造と遺伝子"臨床検査. 46. 133-138 (2002)
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[Publications] 原 好勇, 豊田哲也: "抗インフルエンザウイルス薬"治療学. 34. 981-986 (2000)
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[Publications] 豊田哲也, 原 好勇: "インフルエンザウイルスの分子生物学4・感染分子機構からみた治療薬開発の方向性"治療学. 34. 44-49 (2000)