2003 Fiscal Year Annual Research Report
近世日本における和時計の素材、加工法、構造の復元的研究
Project/Area Number |
14023103
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
石川 充宏 高知大学, 教育学部, 教授 (70184497)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 昌伸 広島市立大学, 芸術学部, 助教授 (10275422)
菅沼 研一 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (20154445)
中村 滝雄 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (60198215)
眞鍋 豊士 高知県工業技術センター, 材料技術部, 主任研究員
|
Keywords | 和時計 / 金属工芸 / 復元 |
Research Abstract |
本研究はトヨタコレクションの和時計、2丁天符「台時計」(QP16168)を14年度に調査し、15年度に復元することを目的として開始したものである。 本年度は高知県立歴史民俗資料館所蔵の和時計2個と「機巧図彙」、佐川町立青山文庫所蔵の和時計2個の調査研究を平成15年5月9〜11日に研究者全員で行った。主として前年度にX線調査を基に作図した図面では不明だった点と構造を調査し、復元作業のための参考に役立てた。 海外調査は南・眞鍋が9月24〜27日スペイン、バルセロナのフレデリック・マレー美術館とマドリッドのセラルボ美術館で、ヨーロッパ機械式時計の歴史と構造及び当時の金属工芸品の視察、調査をした。 復元作業のための部品制作を各研究者が分担して行った。機動部の歯車類は南が担当し、外枠と柱類は中村が担当、天符と錘の真鍮部は石川、鐘打ち棒類は眞鍋、鈴の鋳造は菅沼が担当した。復元に際しては図面に忠実に制作することに留意したが、工具は現代の工芸家が日常よく使う物を多用した。素材に関しては現在のJIS規格で、出来るだけ現物に近い素材を選択して制作した。 最終的には各部材を広島市立大学に集め、現物の微調整を南が行い、本年1月23〜25日に研究者全員で調整と組み立てを実施した。実際に組み立てた後駆動させたが、やや精度を欠く不安定な状態だったので、更に錘や歯車類の微調整を重ねた結果、安定な駆動状態になった。 当初の研究目的の内、素材の復元があったが、限られた期間内にそれが充分出来なかったことが、反省材料となった。また、木製の櫓は鉄製の仮櫓となったことも、反省点として挙げられる。 本研究を終えて、江戸期の加工技術と素材に対する知識の確かさを改めて再認識すると共に、研究の機会を与えてくれたことに研究員全員が感謝している次第である。
|