2002 Fiscal Year Annual Research Report
江戸明治初期の輸入医薬品・医療機器の実態調査と現存資料の総目録の作成について
Project/Area Number |
14023104
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
MICHEL Wolfgang 九州大学, 大学院・言語文化研究院, 教授 (50174115)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 輝子 東京理科大学, 薬学部, 講師 (70120201)
遠藤 次郎 東京理科大学, 薬学部, 講師 (10120172)
|
Keywords | 輸入医薬品 / 輸入医療機器 / 蘭学 / 本草学 / 硬毛流外科 / 南蛮医学 / 漢方薬 / 製薬技術 |
Research Abstract |
研究環境を整えるため、データの収集、加工、管理に必要な設備・機材を購入した上で、まずアンケート調査により全国の博物館、資料館などの輸入医薬品及び医療機器関係のコレクションの所在を調べ、今後の調査の範囲、規模を確認し、作業体制を構築した。 データ収集・処理上の問題点を検討しながら、内藤くすり博物館、古河歴史博物館、武雄歴史資料館、中津市村上医家史料館、長崎県立美術館等々20数ケ所での基本調査(データ収集、写真撮影)を行った。それと同時に本特定領域の総括班の活動にも参加し、国立科学博物館所蔵の「医学文化館資料」及び長野県木祖村の民蘇堂野中資料館、郷土館、宮川家の調査を行った。 各調査先に保存されている輸入医薬品、及び医療機器などに関するデータを入力・整理し、データベースの作成をすすめている。薬箱の調査では、中の生薬を1点づつ、全てにわたり、画像データも含め、データベース化している。必要に応じて当該の薬の成分に関する分析も行っている。 また、明治以前の日本及びヨーロッパの医薬学関係の文献資料を収集し、日欧の旧薬品名のデータベース作成に取りかかった。当時輸入されていたものの内容をより詳細に把握するために、オランダ国立公文書館より東インド会社の日本貿易史料のマイクロフィルムを取り寄せ、その内容の分析をすすめている。 上記の調査により数々の医薬品、標本、医療器具などが確認され、江戸明治初期の状況を把握するための地ならしはできた。特にこれまでほとんど不明であった、17世紀に輸入された医薬品や、金瘡医や蘭方医がそれらをいかに利用したか、また西洋蒸留技術の導入についてなどがかなり詳しく解明された。 本年度の調査研究とその成果については2つの国際会議および8つの国内の学会で発表を行った。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 遠藤次郎, 中村輝子: "曲直瀬道三撰『医心正伝』の研究"科学史研究. 41・223. 129-136 (2002)
-
[Publications] 遠藤次郎, 中村輝子: "『延壽院切紙』における導道・三喜像"日本医史学雑誌. 48・3. 398-399 (2002)
-
[Publications] 遠藤次郎, 中村輝子: "曲直瀬道三と佐野-「足利の三喜」の検討-"日本医史学雑誌. 48・3. 400-401 (2002)
-
[Publications] ヴォルフガング・ミヒェル: "シーボルト記念館蔵「阿蘭陀草花鏡図」とその背景について"日本医史学雑誌. 48・3. 470-471 (2002)
-
[Publications] Wolfgang Michel: "On the Background of Engelbert Kaempfer's Studies of Japanese Herbs and Drugs"日本医史学雑誌. 48・4. 692-720 (2002)
-
[Publications] Wolfgang Michel: "Western Medicine and Pharmaceutics in 17th Century Japan"Proceedings of the The Tenth International Conference On The History Of Science In East Asia. (Shanghai). (印刷中). (2003)
-
[Publications] ヴォルフガング ミヒェル: "ヘルマン・ブショフ:痛風に関する詳細な研究及びその確実な治療法と効き目のある薬剤について ー ヨーロッパにおける灸術に関する初の著書(1675年英語版)"九州大学大学院言語文化研究院(叢書). 120 (2003)