2002 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代における言語情報の発生・伝達・管理技術に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14023111
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
大友 一雄 国文学研究資料館, 史料館, 教授 (30169007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五島 敏芳 国文学研究資料館, 史料館, 助手 (90332139)
神立 孝一 創価大学, 経済学部, 教授 (60169795)
澤登 寛聡 法政大学, 文学部, 助教授 (20287832)
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Keywords | 言語情報の生成 / 情報伝達 / 情報管理技術 / 書札礼 / 奏者番 / 和紙 / 記録管理 |
Research Abstract |
本研究は、江戸時代の文字情報に関する技術とその技術のもとに形成された社会システムを、言語情報の発生・伝達・管理という情報の諸段階に応じて調査・研究し、当時の情報環境ともいうべきものを解明することを目的としている。 補助事業初年度である本年は、言語情報の発生・伝達・管理に関わる史料の調査・収集に努め、一部に関してはその分析を進め、成果をまとめつつある。具体的には次の通りである。調査は身分制社会である江戸時代の特色を踏まえ、幕府、藩、町村方などを対象にそれぞれ実施した。(1)幕府関係は国立公文書館内閣文庫、東北大学付属図書館で、(2)藩関係では、秋田・山口・田原などの諸藩の関係文書を調査した。また、研究代表者が所属する国文学研究資料館史料館に収蔵される幕府奏者番関係、書札礼関係史料についても、これを調査した。(3)村方関係では史料館収蔵の中から武蔵国多摩郡蓮光寺村の史料、並びに和紙の種類と生産地に関わり、本漉紙(山梨県市川大門)、杉原紙(兵庫県加美町)、石州和紙(島根県津和野町)、備中和紙(岡山県津山市)などの調査を実施した。和紙の生産に関しては、これを生産技術の問題から論じることも可能であるが、本研究では当時の文書システムとの関わりで調査を進めている。 史料の収集は、紙焼写真やデジタルカメラにより行い、その一部については解読を進めた。史料の分析は未だ充分とはいえないが、分担者澤登寛聡は文書の生成と書札礼に関する成果の一部を、日本古文書学会大会で「制札の書法」と題して報告した。また、情報管理に関連しては、(1)秋田藩の御判紙・印判状などの管理について、(2)幕府奏者番の情報・記録管理に関して成果をまとめつつある。 次年度はさらに調査・検討を進め、江戸時代の文字情報に関する技術と、その技術のもとに形成,された社会システムを解明する所存である。
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