2005 Fiscal Year Annual Research Report
生活生産遺跡出土資料研究に基づく近世科学技術の比較研究の総合化
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14023115
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
村上 隆 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (00192774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 潤 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60093259)
難波 徳郎 岡山大学, 環境工学部, 助教授 (80218073)
草野 圭弘 倉敷芸術科学大学, 芸術学部, 助教授 (40279039)
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Keywords | 近世科学技術 / 生産遺跡 / モノづくり / 金工技術 / 鉱山技術 / 石見銀山 / 製錬 / 機器分析 |
Research Abstract |
本研究は、従来から行われてきた伝世資料や、文書や絵巻などの文献資料に加えて、生産・生活遺跡の発掘調査に伴って出土する考古資料を研究対象とし、近世の「モノづくり」技術の系譜を探ると共に、古代から現代に繋がる時間軸上で技術を捉え直すことを目的としている。調査には、最新のさまざまな機器分析を駆使した材料科学的な手法を用い、形体的特徴やその系譜、また表面観察だけでは窺うことができない実資料が内含する情報を引き出すとともに、情報の蓄積をはかる点が従来にはみられない本研究の大きな特徴として挙げられる。 特に、金属の生産と加工に関しての調査・研究に重点をおいて取り組んできた。近世技術の根幹を成す古代からの金工に用いられた材料の変遷を追う調査を行うと共に、近世における採鉱から精錬に至る金属素材を得る技術、いわゆる鉱山技術に関わる一連の作業の再評価を行った。この点に関しては、調査対象として島根県石見銀山遺跡における調査を継続して行なった。また、古代における金生産に関して、ルツボの分析から9世紀には東北地方でも金を溶かす作業が行なわれていたことを明らかにした。金工技術の新しい発見として、9世紀には鉄薄板の接合に銅蝋が用いられていたことを確認したことが挙げられる。さらに、鉄生産に関する調査も行なった。伝統的なたたらの操業に伴う原料から最終製品の玉鋼の詳細な分析を行ない、たたら製鉄の本質に迫ることを試みた。また、近世の金工品を代表する刀装具の材質と製作技術の調査・研究も実施し、製作技術の系譜を明らかにした。 研究成果の公開をはかるために企画したシンポジウム「生産遺跡に探る「モノづくり」の歴史」を5回シリーズで行い、生産遺跡を抱える地域の住民と連携する中で、生産遺跡の重要性を訴えることを行なった。
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Research Products
(6 results)