2002 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代に起源をもつ繊維関係道具・機械類に関する総合調査研究
Project/Area Number |
14023206
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 鶴代 東京農工大学, 工学部, 助教授 (30113369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真貝 哲夫 東京農工大学, 工学部, 助手 (90282813)
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Keywords | 科学・技術史 / 繊維 |
Research Abstract |
東京農工大学工学部は製糸産業の技術者の養成と製糸科学の研究を目的として設立された東京高等蚕糸学校を前身としていることから、繊維博物館では養蚕・製糸および繊維全般に関わる資料を多数所蔵している。明治維新後、日本の近代化のために最も早く工業化が始まった製糸産業は1970年代より急速に衰退し、当時の道具・機械類は散逸しつつあり、技術を持つ人々の高齢化が進んでいる。その一方で小中学校では総合学習の一環として養蚕・製糸を取り上げることが増え、また公民館などの生涯学習活動においても関心が高まっているが、専門的指導者が不足しているのが現状である。 繊維博物館で所蔵している、養蚕・製糸・機織・組ひもに関する道具・機械類は江戸時代あるいはそれ以前に起源を持つものである。組ひもについては、国内で最も充実した展示が見られる。当博物館では丸台・角台・綾竹台・鴨川台・高台・内記台など多数の組ひも機と組ひも製品400点を所蔵している。特に内記台は歯車の組み合わせや両側にフックがついた駒板が左右に首を振るしくみなど手組みから機械組みへ移る中間的存在であり、おそらく江戸時代の後期にできたものと考えられるが、他の組台と異なり、文献資料は全く残されていない。しかし、当博物館では平成11年に繊維技術を持つボランティア集団「繊維技術研究会」が組織され、会員である江戸組ひも伝承者がこれらの組ひも機の修復・整備を行っているところである。 また日本各地にはそれぞれの地方独自の手織機が存在しており、当博物館の地域活動の一環であるサークル活動の会員たちによって、展示されている手織機で実際に製作がなされている。また15/100に縮尺して作成された日本各地の手織機の復元模型を多数所蔵していて、日本の手織機の集大成の場となることができる。 以上のような、調査・研究の成果は平成15年4月に開する第60回特別展「日本のわざ-組む・結ぶ・織る-」において、展示と実演によって公開する予定である。
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