2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14023212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 哲也 九州大学, 総合研究博物館, 助教授 (50315115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 克則 九州大学, 総合研究博物館, 助教授 (80219758)
井澤 英二 九州大学, 総合研究博物館, 名誉教授 (50037751)
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Keywords | 江戸時代 / 鉱山技術 / 古文書 / 金・銀 / 銅 / 器物資料 / 鉱石 / 測量器具 |
Research Abstract |
平成15年度は国内主要鉱山の現地調査として、秋田県阿仁銅山、大葛金山、尾去沢銅山、山口県長登銅山、島根県石見銀山、都茂丸山銅山、宮崎県木浦鉱山(錫)の調査を行った。資料館・博物館関連の施設としては、小坂町立総合博物館郷土館、阿仁町郷土文化保存伝承館、秋田県立博物館、秋田大学工学資源学部付属鉱業博物館、秋田県立図書館、東京大学総合博物館、東京大学工学部、湯ノ奥金山博物館、石見銀山資料館、住友史料館、大阪歴史博物館、宇部市石炭資料館等において文献・器物の所在調査を行った。特に、山口県長登銅山では、周辺地質の調査、鉱石・からみ(製錬滓)試料の分析等を行い、銅の製錬技術の古代から近世にいたる時代的変遷を検証するための基礎データの収集を行った。また、文献試料については東北地方の鉱山史料について82点を目録化した。昨年度目録化を行った九州大学旧採鉱学科所蔵鉱山関連古文書については、テキストデータベースの作成を完了し、絵図等についても随時デジタル化、HP上での公開を進めてきた。 本年度の研究の過程で得られた知見として、鉱山技術を探査・採掘・選鉱・製錬のプロセスに分けた場合、鉱山技術を読み解く材料として、1)鉱山技術が人(山師)の移動を伴って広がること、2)当時の技術レベルに応じた採掘対象(鉱石)の選択、3)石臼等選鉱用の道具の変遷、4)新しい製錬技術の伝播、5)製錬技術の科学的検証等が挙げられる。特に、5)の製錬技術の検証については、長登銅山の鉱石・からみの分析の結果、当時の製錬技術や採掘の対象となった鉱石、あるいは製錬の過程で添加された溶融剤等を推定する事が可能である事が判明した。 また本特定領域の他の研究班との連携として、製錬技術についてはA03班「生産遺跡出土資料研究に基づく近世科学技術の比較研究の総合化」と協調して鉱山遺跡関連のシンポジウムに参加を行った他、A01班「石黒信由以下4代の編著書・作成地図・考案測量器具に関する調査・研究と日本近代化論」と共同で鉱山で使用された測量器具についての調査をおこなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 井澤英二, 中西哲也, 吉川竜太: "山口県長登銅山地域の地質と鉱床:特に硫化銅鉱と炭酸銅鉱の関係について"資源・素材2003(宇部)予稿集(鉱業史). 7-10 (2003)
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[Publications] 中西哲也, 井澤英二, 吉川竜太: "蛍光X線分析法による銅鉱石と製錬滓の分析-長登銅山と都茂丸山銅山の例-"江戸のモノ作り第3回国際シンポジウム(長浜)予稿集. 121-124 (2003)
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[Publications] N.Zeng, K.Masaki, K.Watanabe, Y.Motomura, E.Izawa: "Hydrothermal alteration in the Iwami-ginzan (silver mine) district, Shimane Prefecture, Japan."Mineral Exploration and Sustainable Development. 1. 545-548 (2003)
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[Publications] 井澤英二: "現代鉱業からみた近世鉱山技術"シンポジウム『生産遺跡から探る「モノづくり」の歴史』第1回-金山・銀山の技術-講演要旨集. 4-5 (2004)
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[Publications] 井澤英二, 中西哲也, 吉川竜太: "都茂丸山銅山地域に産する銅鉱石の特徴"日本工業史研究会. (in press). (2004)
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[Publications] 吉川竜太, 井澤英二, 中西哲也: "蛍光X線分析法による銅製錬滓の分析"日本鉱業史研究会. (in press). (2004)