2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14023216
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Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
寺田 栄次郎 金沢美術工芸大学, 美術工芸研究所, 教授 (80180082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本康 宏史 石川県立歴史博物館, 学芸主査
山崎 達文 金沢学院大学, 美術文化学部, 助教授 (30329429)
柳橋 眞 金沢美術工芸大学, 大学院・美術工芸研究科, 教授 (10230195)
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Keywords | 金箔 / 製箔技術 / 箔打紙 / 大野弁吉 / 一東視窮録 / 琉球箔画 / 越野家文書 |
Research Abstract |
1.近世末期に確立され現在に至っている金沢の金箔生産技術が、近世から近代へどのように継承されてきたのかを検証するため、京箔の伝統を伝える製箔技術を全工程に渡って取材調査し、記録した。これを現行の金沢での製箔技法と比較することで、金箔生産が、現在も基本的には近世来の技法を踏襲していることが確認され、一部に廃れた工程のあることも判明した。また、近世来の手漉きの箔打紙によって打たれる金箔に、グラシン紙による近代的技法との間で品質的異同があるか、今後の調査のため、手漉き金箔下地紙について、その製紙工程のすべてを取材調査し、記録した。 2.こうした製箔技法の現在と古法とでの異同は、一方で進めてきた、金箔関係一括文書「越野家文書」の解明を通しても確認できた。この文書解読調査では、近世に於ける製箔に関する技法や道具類等の呼称について、多数の語句や用語を抽出した。これらと現在の呼称との比較を行うことで、近世の技法や生産態勢を想定検討することが可能となった。 3.幕末から近代初頭に活躍した金沢のからくり師、大野弁吉の著作「一東視窮録」は、金箔利用にかかる諸技法も紹介されている科学技術書であり、この史料の翻刻解読調査を行った。また、弁吉の弟子、米林八十八の身上書に記載される琉球箔画は、近代初頭に金沢で大量に流通していた、これまで知られていない金箔利用製品てあることが判明した。これがどのようなものであるか、またその流通経路などについては不詳であり、今後の継続調査課題としている。
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