2002 Fiscal Year Annual Research Report
木造芝居小屋の歌舞伎の科白・衣裳等に及ぼした影響の研究
Project/Area Number |
14023217
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
西角井 正大 実践女子大学, 文学部・美学美術史学科, 教授 (80306919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
降旗 芳彦 実践女子大学, 文学部・美学美術史学科, 助教授 (20238661)
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Keywords | 芝居小屋 / 照度 / 日照 / 歌舞伎 / 蝋燭 |
Research Abstract |
歌舞伎は初め見物は野天であったが、享保年間から舞台も見物席も屋根の掛かった全蓋式の芝居小屋となった。舞台も客席も屋根の日陰の内に閉じ込められその影の中で演じ見物するという状況になった。野天とは比較にならないほど薄暗い世界になった。小屋の左右は2階建ての芝居茶屋で占められたので採光窓は3階部分に設けられた。日照は季節・気象・時間によって著しく異なるが、今日唯一幕末の芝居小屋たる香川県琴平町の金丸座がこの様式で1階客席で外光の千分の一程度の照度しかない。舞台の照度は舞台縁で客席と似たレベルだろう。こうした状況の中で歌舞伎の演技・セリフ・化粧・衣裳・道具が成立したのである。これを実証すべく平成14年9月29日、岐阜県恵那郡福岡町の常盤座で同町歌舞伎保存会の協力を得て入射光だけに頼る歌舞伎上演を行った。舞台の上下手縁と奥・花道・客席中央・2階上手桟敷・同正面桟敷と野外に照度計を設置し5秒間隔で計測するとともに舞台と舞台側からみた客の明りの状態をハイビジョン撮影した。常盤座はほぼ西向きで上手桟敷は南面している。江戸期の小屋は採光窓が舞台奥まで続いているので舞台も客席も照度的にはほぼ同一であったと思われる。つまり役者も客を見ながら演技していたことになる。こういう状態は双方からアンケートをとることによって証明された。時期は秋分の6日後で日照的に好都合だったが、曇天で、上演時刻の9時20分から10時32分の72分間の間に照度は16000ルックスから2090ルックスまでの激しい変化を見た。最後の10分ほど閉窓して蝋燭芝居を試みた。蝋燭芝居は禁制に近ったのであるが、人々は錯覚している。14年度研究を日照照明に特化し、映像記録をピツチャーインピクチャーのDVDに、各種データ・写真等をCDにして論文(400字詰55枚相当)を添えたセットとして照度編を完成した。
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Research Products
(1 results)