2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本および中国における歴史的天文観測史料の信頼性吟味およびデータベース化
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14023233
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
谷川 清隆 国立天文台, 理論天文学研究系, 助教授 (80125210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河鰭 公昭 名古屋大学, 名誉教授 (60022513)
相馬 充 国立天文台, 位置天文天体力学研究系, 助手 (30187885)
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Keywords | 天文史料データベース / 日月食記録 / 地球回転長期変動 |
Research Abstract |
CD-ROM版四庫全書から中国の天文記録を抜き出しパソコンに蓄積しつつある。漢書から新唐書までがほぼ完成し、宋史から元史までが進行中である。ほかの史料との付き合わせも一部行った。また「日本天文史料」に記載されない天文史料をいくつか学術文献から入手した。これらのデータを系統的に使用して、地球回転の長期変動の予備的計算を行った。また特定の観測記録の信憑性を議論した。たとえば日本書紀の推古紀および天武紀の天文記録は従来は誇張が多いとされていたが、中国の同時代の天文記録を考慮に入れた申請者らの研究によって、専門家による観測記録であるとの信憑性が高まった。この手法をほかの天文記録へも適用中である。奈良時代以降、日本の天文記録は主として予報であると言われている。予報にあたってどの暦を使ったのか、時刻制度はどの程度精度があったのか、これらは史料の信頼性の吟味にとっても重要な課題である。この2点についても、研究手法の確立ついて鋭意検討中である。 2002年11月、天文史料収集の目的で京都上賀茂神社の蔵書整理,マイクロフィルム化に立ち会った。研究成果は2002年7月の韓国でのシンポジウムおよび2002年9月ルーマニアでのシンポジウムにおいて発表した。2003年3月には国内研究会において成果を発表した。2002年秋に3ヶ月滞在した中国国家天文台の韓延本氏とはすでに古代中世の天文データの質を吟味しつつ行う共同研究を始めた。成果は近々出版の予定である。また韓国において史料を収集し、単行本として出版も行っているLee Yong Bok氏とも氏の来日中に情報交換を行い今後の交流を約した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Kawabata, K.Tanikawa, M.Soma: "TT-UT in the 7^<th> century from astronomical records in the Nihongi, the Suishu, and the Chiu-and Hsin-t'angshu"The proceedings of the International Conference on Astronomical Instruments and Archives. (印刷中). (2003)
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[Publications] M.Soma, K.Tanikawa, K.Kawabata: "Earth' rotation in the 7^<th> century derived from eclipse records in Japan and China"Astrometry from Ground and from Space, the Proceedings of JOURNEES 2002. (印刷中). (2003)
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[Publications] 相馬 充, 谷川清隆, 河鰭公昭, 今江廣道: "日本中世の日月食データの吟味と地球自転"天体力学N体力学研究会集録. 35. (2003)
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[Publications] 河鰭公昭, 谷川清隆, 相馬 充: "古代日食から推測される地球慣性能率の変動"天体力学N体力学研究会集録. 35. (2003)