2003 Fiscal Year Annual Research Report
絵画および器物における彩色・装飾技術に関する技術移転の実態と独自性発生の機構
Project/Area Number |
14023240
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
神庭 信幸 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 文化財部・保存修復課, 課長 (50169801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 浩 独立行政法人国立博物館, 東京国立博物館・文化財部・保存修復課・環境保存室, 研究員 (60332136)
土屋 裕子 独立行政法人国立博物館, 東京国立博物館・文化財部・保存修復課・保存修復室, 研究員 (60321551)
歌田 眞介 早稲田大学, 客員教授 (30272644)
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Keywords | 芸術諸学 / 分析化学 / 光学的調査 / 油彩画 / 彩色 |
Research Abstract |
東京国立博物館内における作業として、博物館が所蔵する江戸初期および江戸末・明治初期の絵画作品や器物など10点について、X線透過撮影、エミシオグラフィー、光学顕微鏡観察、各種光学写真撮影などの方法による科学的検査を実施した。特にキリシタン遺物に関する検査においては、著しく劣化の進行した銅板作品について、各種の光学的手法で撮影した画像解析から、内容を読み取れる可能性が生まれてきた。現在これらの画像の分析を実施している。 また明治初期油彩画においては、絵具の微量サンプルを用いてマイクロアナライザー付走査型電子顕微鏡観察による顔料分析を実施した。現在はこの分析結果を元にして、技術黎明期における関連作品との比較検討を行い、材料と製作技術の解明を進めている。キリシタン絵画あるいは幕末・明治初期の絵画技術が、西欧絵画に対していかなる関係であったのかを材料と技術の側面から明らかにしつつある。さらに江戸時代の絵画に関して、西欧的技術および材料における移転の有無やその程度について比較検討を始めた。 検査で得られた画像や数値は、デジタル化による蓄積とともにデータベースの構築を行い、分析や比較検討をする際、有効に作用するよう効率化を図っている。 そのほか館外における活動として、イタリア(ヴァティカン博物館,ローマ国立博物館,カピトリーニ博物館,クリプタ・バルビ)およびポルトガル(ベレン文化センター,シアード美術館,国立考古学博物館)において、メダイなどキリシタン遺物の調査を行った。 研究成果の公表については、文化財保存修復学会におけるポスター発表、東京国立博物館および国立歴史民俗博物館刊行の学術雑誌における論文発表を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 神庭信幸, 歌田眞介, 土屋裕子, 和田浩: "キリシタン遺物の製作技術と材料に関する調査-絵画技術の伝播と受容-"文化財保存修復学会第25回大会. (ポスターセッション). (2003)
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[Publications] 神庭信幸: "「マリア十五原義図」を通じて見えた絵画技術の移転と定着"歴博. 122号. 11-15 (2004)
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[Publications] 土屋裕子: "東京国立博物館所蔵 国澤新九郎「海景」・加地為也「海景」の修理について"MUSEUM. 588. 27-50 (2004)