2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウェルナーヘリケース遺伝子ファミリーの機能異常による発癌機構の解明
Project/Area Number |
14026005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 稔 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20311558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 洋志 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00241555)
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Keywords | ゲノム / 老化 / 癌 / 染色体 |
Research Abstract |
ウェルナー症候群の原因遺伝子として同定されたWRNを始めとするRecQタイプのDNAヘリケース遺伝子は、ヒト及びマウスにおいては少なくとも5種類以上のファミリーからなる事が知られている。そのうちWRN、BLM、RecQ4(=RTS)は、いずれも染色体異常を伴うヒト遺伝子疾患の原因遺伝子として同定されているが、老化や発癌等の臨床像を呈してくる発症機構の解明は未だほとんど不明である。そこでWRN、RecQ1、RecQ4、RecQ5の4種類についてノックアウトマウスを作製し、高等生物の生体内における各ヘリケースの機能・役割分担の解析を試み、得られた知見を以下に要約する。 Q1 KO-Miceはメンデル則に従って得られ、これまでのところ特に外見上の異常は観察されない。変異アレル由来のLacZレポーター遺伝子の発現をもとにQ1遺伝子の生体内での発現を解析した結果、精巣の精母細胞や卵巣の卵母細胞などの生殖細胞で高発現であり、また、脳の海馬や小脳のプルキンエ細胞層といった細胞増殖を伴わない神経系細胞での発現も観察された。 Wrn KO-Miceは、1年以上の長期にわたる経過観察や病理組織学的解析では、老化徴候の著変や腫瘍発生の増加は観察されず、成長及び生存日数にも顕著な差は認められなかった。マウス胎仔線維芽細胞(MEF)を用いて細胞増殖活性を調べたところ、(Wrn-/-)MEFの増殖活性は野生型の約60%の増殖であった。また、Wrm KO-MiceとQ1 KO-Miceとの二重変異マウスの作製を試み、これまでほぼメンデル則に従って得られることが判明し、現在経過観察中である。 RecQ4ヌルタイプのKO-Miceは着床前後の胎生3.5〜6.5日にアポトーシスにより致死となることが判明した。胎生3.5日に採取した(Q4-/-)胚盤胞を培養して解析した結果、内部細胞塊や栄養胚葉細胞の増殖が著しく低下しているのが観察され、初期発生に重要な機能をもつことが明らかとなった。このRecQ4ヌルタイプのKO-Miceが胎生致死であることは、Genetic backgroundをC57BL/6JからBalb/Cマウスへ変えた場合でも同様であったため、新たにコンディショナル・ノックアウトマウスを作製し解析を行っている。
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