2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の増殖シグナルと接着シグナルのクロストーク制御機構とヒトがんにおける異常
Project/Area Number |
14028009
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
的崎 尚 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (80252782)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡澤 秀樹 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (80334126)
大西 浩史 群馬大学, 生体調節研究所, 講師 (70334125)
|
Keywords | 細胞増殖 / 細胞接着 / コンタクトインヒビション / チロシンホスファターゼ / SHP-2 / SHPS-1 / CD47 / SAP-1 |
Research Abstract |
生理的な細胞増殖と細胞接着のシグナル伝達機構の解明は、がんの生物学的特性である無制限な増殖能や浸潤・転移能を分子レベルで理解する上で必須であると考えられる。このような観点から、私共は細胞の増殖と接着の制御機構における蛋白質チロシンリン酸化シグナルの生理的役割とがん化や転移の病態との関連につき研究を行っており、本年度も、チロシンホスファターゼSHP-2とSAP-1およびこれらに関連する分子の生理的機能と作用機構を中心に研究を行い、以下の結果を得た。 (1)新しい細胞間シグナル伝達系であるCD47-SHPS-1系による細胞運動の制御機構を、SHPS-1を発現するヒト悪性黒色腫細胞をモデル細胞として用い検討した。その結果、CD47あるいはSHPS-1抗体のSHPS-1への結合依存性に、SHPS-1発現細胞の細胞運動は抑制された。この抑制効果には、少なくともSHPS-1の細胞内領域に結合するSHP-2とRhoの活性化が関与していることを明らかにした。従って、CD47-SHPS-1系は接触阻害(コンタクトインヒビション)の分子機構に関与する可能性が示唆された。 (2)受容体型チロシンホスファターゼSAP-1が、P13キナーゼ-Akt経路を抑制することとカスパーゼ依存性の経路を活性化することにより、アポトーシスを介して細胞増殖を抑制することを明らかにした。さらに、SAP-1はT細胞においてLckチロシンキナーゼと結合し、これを不活性化することによりT細胞受容体シグナルを負に制御することを明らかにした。 今後、さらに新たな細胞間シグナル伝達系であるCD47-SHPS-1系の生理機能とその作用機構、さらにがんにおける異常について解析する予定である。また、私共はSAP-1遺伝子KOマウスの作成を始めており、これら培養細胞系で得られた成果をin vivoでも今後検証する予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Takada, T., et al.: "Induction of apoptosis by stomach cancer-associated protein tyrosine phosphatase-1 (SAP-1)"J. Biol. Chem.. 277巻・37号. 34359-34366 (2002)
-
[Publications] Yamao, T., et al.: "Negative regulation of platelet clearance and of the macrophage phagocytic response by the transmembrane glycoprotein SHPS-1"J. Biol. Chem.. 277巻・42号. 39833-39839 (2002)