2002 Fiscal Year Annual Research Report
PolIII発現系を用いた哺乳動物細胞におけるRNA干渉の開発とガン治療への応用
Project/Area Number |
14030011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多比良 和誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10261778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮岸 真 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30323538)
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Keywords | RNA interference / polIII系 / U6プロモーター / 遺伝子治療 / がん遺伝子 / RNAiライブラリー |
Research Abstract |
今年度は、本実験計画において根幹をなす、siRNA発現ベクターの開発とその最適化を行ってきた。我々のグループは世界に先駆けて、ベクター系を用いて動物細胞内で、RNAiを引き起こし、特定の遺伝子をノックダウンする技術をNature Biotechnology誌に報告した(Miyagishi and Taira, 2002)。この方法は、PolIIIプロモーターを用いて、siRNAを発現させることにより、細胞内でRNAiを起こさせる方法であり、レポーター遺伝子を抑制する実験で約90%以上の抑制効率を示した。また、内在の遺伝子に対しても高い効果があることを明らかにした。ほぼ同時期に、いくつかの研究グループにより、同様の方法が発表されたことから、その中で最も活性が高く、安定な発現系の検討を行った。その結果、ステムループとして、siRNAを発現する系が、より低濃度で活性が高いことが分かった。しかし、ステムループタイプのsiRNA発現系は効果が高いがいくつかの問題点があった。シークエンスが読めないこと、また、大腸菌の中で非常に高効率で変異が入るため扱いが困難であることが挙げられる。我々は、この問題を解決するためにRNAi効果を阻害せずにステム構造をより使いやすいものにするための検討を行い、非常に安定で高い効果を有するRNAi発現ベクターの構築に成功した。今後は、この最適化されたRNAiベクターを用いて、共同研究者とともにがん遺伝子をターゲットとした、応用研究を行う予定でいる。また、このsiRNA発現系を用いて、ヒト全てのcDNAを用いたライブリーの構築を今年から始めている。このライブラリーが完成すれば、がんの原因遺伝子のみならずがんの治療に用いることができるターゲット遺伝子の探索が可能となると考えられる。来年度からは少ないスケールのライブラリーを構築し、スクリーニング系の構築を含めた検討を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Makoto Miyagishi: "U6 promoter-driven siRNAs with four uridine 3' overhangs efficiently suppress targetes gene expression in mammalian cells"Nature Biotechnol.. 20・5. 497-500 (2002)
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[Publications] Makiko Hamada: "Effects on RNA interference in gene expression (RNAi) in cultured mammalian cells of mismatches and the introduction of chemical modifications at the 3' ends of siRNAs"Antisense Nucl. Acid Drug Develop.. 12・5. 301-309 (2002)
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[Publications] Hiroaki Kawasaki: "Short hairpin type of dsRNAs that are controlled by tRNAVal promoter significantly induce RNAi-mediated gene silencing in the cytoplasm of human cells"Nucleic Acids Res.. 31. 700-707 (2003)
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[Publications] Takashi Futami: "Effects of an RNA helicase-recruiting sequence indirectly attached to antisense molecules"Antisense Nucl. Acid Drug Develop.. (in press). (2003)
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[Publications] Hiroaki Kawasaki: "siRNAs generated by recombinant human Dicer induce specific and significant but target site-independent gene silencing in human cells"Nucleic Acids Res.. 31・3. (2003)
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[Publications] Makoto Miyagishi: "Comparative analysis of suppressive effects of antisense, ribozyme and RNA interference in mammalian cells"Antisense Nucl. Acid Drug Develop.. (in press). (2003)