2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14030012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 祐一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90164798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 久芳 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (80225531)
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Keywords | 生物応答調節剤 / 抗アンドロゲン / サリドマイド / 核内レセプター / 分子設計 / 医薬リード / 構造展開 / フタルイミド |
Research Abstract |
本研究課題では、ガン細胞の行動様式を正常化する医薬カテゴリーの確立を目的とし、2つのタイプの生物応答調節剤の創製研究を遂行した。 第1は、核内レセプターリガンドに代表される、ガン細胞の遺伝子発現のレベルに直接作用してその行動を正常化するものであり、第2は、ガン細胞の生育環境ならびにがんの増悪因子を制御するタイプのものである。後者については、近年注目されているサリドマイドをリードに選択し、その構造展開を活性拡張により、サリドマイドの持つガン治療に有用な薬理作用を強化・再現しようとした。 核内レセプターリガンドについては、核内レセプターの活性制御理論に基づく分子設計法をほぼ確立し、分化誘導療法剤としての新規レチノイドや新規ビタミンD3誘導体、前立腺ガンのホルモン療法薬としての、新規骨格を有する抗アンドロゲン群を創製することができた。いくつかの新規抗アンドロゲンは、既存の抗アンドロゲンに耐性を示す変異型アンドロゲンレセプターを発現するガン細胞にも有効である。 サリドマイドについては、その薬理作用の分子基盤を明確にすべく、サリドマイド自体ならびにその代謝物に細胞分化促進活性、COX阻害作用があること、代謝物にアポトーシス誘導作用ならびにチュブリン重合阻害作用があること等を見いだした。それらをも考慮しつつ構造展開を重ね、主としてフタルイミド骨格ないしホモフタルイミド骨格をファルマコフォア構造とする、ガン細胞浸潤阻害剤、血管新生阻害剤、チュブリン重合阻害剤、COX阻害剤、TNF-α産生阻害剤等のリードを創製することができた。ガン細胞浸潤阻害剤リードについては、新たにピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼがその分子標的になり得ることを示すこともできた、一連の構造展開研究を通じて、サリドマイドをマルチ創薬テンプレートとして活用した創薬手法をほぼ確立できたと考えている。
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Research Products
(6 results)