2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14030074
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
田村 保明 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80322329)
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Keywords | 癌免疫療法 / 熱ショック蛋白質 / SYT-SSX / 細胞障害性T細胞 / 抗原ペプチド / HLA-A24 / トランスジェニックマウス / 樹状細胞 |
Research Abstract |
軟部悪性腫瘍においては未だ有効な腫瘍抗原ペプチドの同定がなされておらず、治療の主体は外科的手術や化学療法である。しかしこれらの腫瘍の問題点は高い再発率である。腫瘍抗原を標的にした免疫療法はminimal residual disease (MRD)に対して最も効果的であると考えられ、これらの悪性腫瘍の再発、転移を初期の段階から抑制できるというこれまでにない治療法となり得る。最近我々は滑膜肉腫に見られる染色体転座(X;18)部位由来SYT-SSXペプチドがHLA-A24に提示される腫瘍抗原であることを報告した。本年の本領域の研究助成において我々は、この滑膜肉腫に特異的に発現しているSYT-SSXキメラ遺伝子産物由来の腫瘍抗原ペプチドをモデルペプチドとして、熱ショック蛋白質(HSP)をHLA-A24トランスジェニックマウスに免疫することにより、CTLの効率的な誘導法について検討してきた。まず我々はin vitroにおいて,、このSYT-SSX由来ペプチドとrecombinant HSP70,HSP90との複合体(HSP-peptide complex)を高いaffinityを持って作成する事が可能であることを示した。さらにHLA-A24陽性患者腫瘍からHSP70,gp96を精製することが可能であることを確認した。これらのHSP-peptide complexをHLA-A24トランスジェニックマウスに免疫することにより、ペプチド特異的CTLの誘導できるこを示した。しかしその細胞傷害活性はそれほど高いものではないこともわかってきた。また我々は、免疫されたHSP70-ペプチド複合体は抗原提示細胞である樹状細胞に取り込まれ、これに結合している抗原ペプチドはMHC class Iと会合し細胞表面上に発現されることを報告してきた。そこで、今後は強力な抗原提示細胞である樹状細胞にあらかじめ腫瘍由来のHSP70あるいはin vitroで既知の腫瘍抗原ペプチドを結合させたHSP70をパルスしたものをHLA-A24トランスジェニックマウスに免疫することにより、更に強力なCTLを誘導できる可能性について研究を進めたいと考えている。効率良く、かつ活性の高いCTLを誘導可能であれば、実際の臨床応用も可能となり、癌治療における貢献度は大変大きいものと考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yuriko Sato, Hiroeki Sahara, Yasuaki Tamura, et al.: "Improved generation of HLA class I/peptide tetramers"Journal of Immunological Methods. 271. 177-184 (2002)