2002 Fiscal Year Annual Research Report
泌尿器科癌の発生リスクおよび治療反応性に関与する遺伝子多型に関する解析
Project/Area Number |
14031212
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 新吾 京都大学, 医学研究科, 講師 (80322741)
賀本 敏行 京都大学, 医学研究科, 講師 (00281098)
羽渕 友則 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00293861)
西山 博之 京都大学, 医学研究科, 助手 (20324642)
木下 秀文 京都大学, 医学研究科, 助手 (30324635)
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Keywords | 腎臓癌 / 遺伝子多型 / 免疫療法 / 免疫応答遺伝子 / 治療反応性 |
Research Abstract |
[背景]腎細胞癌は化学療法や放射線療法に抵抗性を不す一方、免疫療法にはある程度の効果が認められ、その発生や伸展のリスクとして個々の患者の免疫応答性が関与している可能性がある。[目的]近年、ヒトにおける免疫応答系のうちTh2系のIl-4を介する応答が種々のヒト癌の発生・進展に関与している可能性が示されている。本年度は腎細胞癌の発生および悪性進展におけるIL4受容体遺伝子多型の意義を明らかにすることを目的とした。[方法]143名の腎細胞癌患者と205例のコントロールから血液DNAを採取し、IL-4受容体遺伝子多型を解析した。遺伝子多型としては、Ile50ValとArg576Gluの2つのSNPを対象とし、コントロール群との比較、および予後との関連を検討した。[結果]コントロールとの比較において、腎癌患者ではIleアリル(OR=2.0,p=0.026)とArgアリル(OR=1.68,p=0.036)が有意に高頻度であり、IL-4を介したシグナルが増強するような遺伝子型において腎細胞癌のリスクが増加する傾向が認められた。また、予後との関係では、Ileアリルを持つ患者の予後が有意に悪く(p=0.018)、他の臨床病理学的パラメータとは独立した予後因子であると推定された。[考察と今後の方向性]今回の検討では、免疫応答をつかさどる遺伝子群における多型が、腎細胞癌の発生・進展のリスクとして関与し、これを応用すれば高リスク群の同定や免疫療法に対する反応性予測に応用できる可能性が示された。しかしながら、ヒトの免疫機構は非常に複雑であり、個人の遺伝的背景ばかりでなく、罹患時の全身状態や栄養状態、さらには発生した腫瘍の免疫原性など、数多くの要因が関与すると想定される。現在、インターフェロン療法に対する反応性の明らかな症例を集積し、臨床情報、遺伝情報の全てを統合した解析を計画し、遂行中である。
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Research Products
(1 results)