2003 Fiscal Year Annual Research Report
EGFファミリーによる細胞増殖の調節とその破綻による異常増殖機構の解析
Project/Area Number |
14032202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
目加田 英輔 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20135742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮戸 健二 大阪大学, 助手 (60324844)
岩本 亮 大阪大学, 講師 (10213323)
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Keywords | 増殖因子 / 膜結合型 / HB-EGF / 遺伝子ターゲッティング / 遺伝子欠損マウス / p38MAPK / 心不全 |
Research Abstract |
膜結合型増殖因子HB-EGFの生理的・病理的役割を明らかにし、膜型から分泌型への転換の意義を理解するために、遺伝子ターゲッティング法によってHB-EGF遺伝子欠損マウス、HB-EGF遺伝子に変異を持つ種々のノックインマウスを作成し、その効果を解析した。その結果、1.)HB-EGF遺伝子が欠損すると心臓の形成異常や心不全などで致死的となること、2)プロテアーゼによる切断部位に変異があり分泌型ができないノックインマウスはHB-EGF遺伝子欠損マウスとよく似た表現形を示し、重篤な心臓の異常を示すこと、3)トランスメンブレン領域を欠損し、すべてが分泌型となるHB-EGF遺伝子を持つノックインマウスでは、皮膚や心臓で異常な組織の過形成が起こり致死的となること、が解った。以上のことから、HB-EGFは心臓の形成と維持に必須の因子であると同時に、膜型から分泌型への転換は必要であるが厳密に制御されていなければならないことが明かとなった。続いて、HB-EGFの膜型から分泌型への転換制御機構について理解するために、転換に関わるシグナル伝達経路を詳しく解析し、ストレスによって誘導される新たな切断刺激経路を見いだした。さらに、癌細胞の増殖とHB-EGFの関わりを調べ、卵巣癌細胞では、1)癌細胞が産生したLPA(リゾフォスファチジン酸)がHB-EGFの切断を促進し、2)この結果生じた分泌型HB-EGFがEGFRを活性化することでこの細胞の造腫瘍性を亢進していること、3)したがってsiRNAによるHB-EGFの発現抑制、あるいはHB-EGFの増殖活性を中和するCRM197の投与によって腫瘍形成能が消失することを明らかにし、4)HB-EGFが卵巣癌治療の有効な標的となる可能性について示唆した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Iwamoto, R., et al.: "HB-EGF and ErbB signaling is essential for heart function."Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.. 100. 3221-3226 (2003)
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[Publications] Takenobu, H., et al.: "The stress- and the inflammatory cytokine-induced actodomain shedding of heparin-binding EGF-like growth factor is mediated by p38 MAPK, distinct from TPA-induced and LPA-induced signaling cascades."J.Biol.Chem.. 278. 17255-17262 (2003)
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[Publications] Takeda, Y., et al.: "Tetraspanins CD9 and CD81 function to prevent the fusion of mononuclear phagocytes."J.Cell Biol.. 161. 945-956 (2003)
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[Publications] Yamazaki, S., et al.: "Mice with defects in HB-EGF ectodomain shedding show severe developmental abnormalities."J.Cell Biol.. 163. 469-475 (2003)
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[Publications] Ishibashi, T., et al.: "Tetraspanin protein CD9 is a novel paranodal component regulating paranodal junctional formation."J.Neurosci.. 24. 96-102 (2004)