2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14033202
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
松崎 文雄 独立行政法人理化学研究所, 非対称細胞分裂研究グループ, グループディレクター (10173824)
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Keywords | 神経幹細胞 / 非対称分裂 / 細胞極性 / G蛋白質 / aPKC / 上皮細胞 |
Research Abstract |
少数の幹細胞から多数の分化細胞をつくりだす非対称分裂は、自律的なメカニズムと非自律的なメカニズムに大別される。ショウジョウバエの生殖幹細胞のように、隣接するニッチ細胞が幹細胞の維持に必要とされる場合、娘細胞の一方がニッチ細胞と相互作用しないよう細胞分裂の方向が制御される。その結果、幹細胞と分化した細胞が生じる。他方、ショウジョウバエの神経幹細胞のように自律的に非対称分裂を行う場合、細胞運命の決定因子が娘細胞の一方に不等分配される。この場合も、分裂軸の方向は運命決定因子の局在と一致するよう厳密に制御される。このように分裂の非対称性が自律的な仕組によるか否かにかかわらず、非対称分裂には細胞の分裂軸の定位が重要な役割を果たす。 ショウジョウバエ神経幹細胞では、リン酸化シグナルを伝達するaPKC-Par3複合体と受容体に依存しないGタンパクシグナルを担うGαi-Pins複合体という二つのシグナル伝達系がapical側に局在し、非対称分裂を制御することが知られている。この2つのシグナルの役割を詳細に解析した結果、2つの細胞内シグナル系は互いに協調しながら機能を分担していること、aPKC-Par3シグナルは主に運命決定因子の局在に、Gαi-Pinsは分裂軸の方位の決定に関わることが判明した。 Pinsと相互作用する因子が分裂軸の制御を行うと想定し、Pins結合因子を探索した結果、脳の形態異常変異の原因遺伝子であるmushroom body defect (mud)が同定された。mud変異体では上皮細胞と神経幹細胞の両方で分裂軸の方位に異常が観察されることなどから、Mudは星状体微小管と相互作用することによりGαi-Pins複合体の下流で分裂軸の方位を制御していることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)