2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷シグナルとテロメア維持との関係に関する研究
Project/Area Number |
14033214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加納 純子 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (10323809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 冬木 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30184493)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 放射線 / テロメア |
Research Abstract |
テロメアDNA末端は二重鎖DNA切断部位として認識されることなく、安定に維持される。これにはKuタンパク質などの関与が示されているが、DNA損傷シグナルとテロメア維持との関係については不明な点が多く残されている。そこで、我々は出芽酵母においてDNA損傷シグナルとテロメア維持の両方において機能していることが示されていたSet1の分裂酵母ホモログについて解析した。分裂酵母Set1はクロマチン制御因子に頻繁に見られるSET domainを有し、in vitroでヒストンH3のLys4をメチル化する活性を持っていた。さらに、set1破壊株においてヒストンH3のLys4のメチル化が検出されなくなったことから、分裂酵母Set1はヒストンH3のLys4メチル化酵素であると考えられた。set1破壊株では、テロメアおよびセントロメアにおけるサイレンシング効果に弱い欠陥が見られた。また、set1破壊株では野生株に比べて若干長いテロメアDNAが観察され、その表現型はチェックポイントタンパク質Rad3-Rad26に依存していたことから、Set1はRad3-Rad26依存的にテロメア維持において何らかの機能を果たしていると考えられた。さらに、set1遺伝子を破壊すると、チェックポイントタンパク質Hus1、Rad1、Rad17などを欠損した株のDNA damage sensitivityが弱くなった。このような効果は、Rad3やRad26を欠損した株においては観察されなかった。set1遺伝子破壊によるDNA damage sensitivityの緩和は、チェックポイントによる細胞周期調節やDNA修復遺伝子の発現調節の変化によるものではなかった。以上のことから、分裂酵母Set1はRad3-Rad26依存的にテロメア機能およびDNA damageに対する感受性を調節する因子であると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kanoh, J.: "The fission yeast spSet1p is a histone H3-K4 methyltransferase that functions in telomere maintenance and DNA repair in an ATM kinase Rad3-dependent pathway"J. Mol. Biol.. 326. 1081-1094 (2003)
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[Publications] Miyoshi, T.: "Telomeric DNA ends are essential for the localization of Ku at telomeres in fission yeast"J. Biol. Chem.. 278・3. 1924-1931 (2003)
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[Publications] 加納純子: "テロメア結合タンパク質によるテロメア制御"実験医学増刊号「ゲノム機能を担う核・染色体のダイナミクス」. 20・11. 1544-1549 (2002)