2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14033246
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西沢 正文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20218150)
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Keywords | 細胞周期 / 酵母 / サイクリン依存性キナーゼ / 糖代謝 / 微量元素 / ジーンチップ |
Research Abstract |
栄養源からのシグナル伝達機構におけるPho85キナーゼの標的の探索と同定 Diauxic shiftに伴う遺伝子発現の変化に対するpho85変異の影響をジーンチップを用いて調べた。Diauxic shiftに伴い、糖代謝系のシフト、ミトコンドリア機能の昂進、蛋白質合成の低下が起こることが知られているが、pho85欠失株ではこのような変化に伴う遺伝子発現の変動が正しいタイミングで起こらないことがわかった。ノーザン解析により確認した結果、pho85欠失株では糖新生系およびglyoxylate cycle酵素遺伝子の発現上昇が遅れたりあるいは見られないが、逆にGRE1やZRT1の発現はpho85欠失株で発現上昇が見られた。リボソーム生合成に関与する遺伝子の発現は野生型では培養時間経過とともに減少したが、pho85欠失株ではその減少が遅れた。逆に蛋白質分解に関与する遺伝子(CPS1,PRE7,PUP1など)の発現はpho85欠失株の方が急速な減少を示した。糖新生系酵素遺伝子の上流にはCSREと呼ばれる調節配列があることから、やはり上流域にCSRE配列を持つRCS1に着目し、rcs1欠失変異株を調べたところ、pho85欠失株同様diauxic shift後の糖新生系遺伝子の発現上昇が見られなかった。一方、金属センサーであるCTR1,CTR3,FRE7,ZRT1の発現もpho85欠失株では正しく制御されず、これらを共通して制御する転写因子Mac1がpho85の標的である可能性が考えられた。ノーザン解析の結果、MAC1の発現がpho85欠失株では時間経過とともに減少すること、Mac1蛋白質の安定性がpho85欠失株では低下することを見いだした。これらの結果は、Pho85キナーゼがこれまで考えられていた以上に広い範囲で栄養源からのシグナル伝達に関与していることを示している。
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Research Products
(1 results)