2003 Fiscal Year Annual Research Report
PIAS1によるがん抑制タンパク質p53のSUMO化制御機構の解析
Project/Area Number |
14033248
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
西田 有 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (50287463)
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Keywords | SUMO化 / PIAS1 / ストレス応答 / p53 / がん / シグナル伝達 |
Research Abstract |
p53の持つ転写活性能へSUMO化が与える影響を検討した。内在性p53が検出されないヒト肺癌由来H1299細胞または子宮頚部癌由来HeLa細胞へp53の標的遺伝子であるp21のプロモーター内にある認識配列をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み入れたレポータープラスミド、p53発現プラスミドをトランスフェクションし、ルシフェラーゼアッセイを行った。その結果、SUMO化部位に変異を導入したK386R変異型は野生型よりも2〜6倍高い転写活性能を示した。さらに野生型とともに各種SUMOプロテアーゼを共発現させたところSENP1,SENP2により転写活性の上昇がみられた。一方、p53のSUMO化を促進するSUMO E3リガーゼであるPIAS1をp53と共発現させると、p53の転写活性能は上昇した。しかし、K386R変異型においても野生型と同様にPIAS1による活性化が見られたため、PIAS1による活性化はp53のSUMO化を介したものではないと推測された。つまり、PIAS1はp53の転写活性能の制御において二つの作用を示すと考えられた。一つはSUMO E3リガーゼ活性を介したSUMO化促進による抑制作用で、もう一つはp53自身のSUMO化とは無関係な促進作用である。p53のDNAに対する結合能をEMSAによって検討した結果、野生型とK386R変異型との間でDNA結合能の差は検出されなかったことから、SUMO化による転写活性能の変化は何らかの他の因子の関与も考えられた。さらにp53のSUMO化の生理的意義を理解するために細胞増殖との関係を調べたところ、EGF処理によりSUMO化の減少が認められ、この時内在性のPIAS1の発現量の減少が見られた。逆に紫外線処理による細胞の増殖停止に伴いSUMO化の亢進が認められた。
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