2002 Fiscal Year Annual Research Report
形態生成機構の基本原理の解明を目指した,ニワトリ三半規管の発生機構の解析
Project/Area Number |
14034202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
舟橋 淳一 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (00270827)
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Keywords | エレクトロポレーション / 蝸牛 / トレーシング / GFP / dsRed / 発生運命系譜 |
Research Abstract |
三半規管は耳胞の背側から発生する。このとき、耳胞背側の膨らみが扁平化し、その中心部に穴が開くことで三つの半規管が形成される。この過程で起こる細胞の増殖や、移動、さらに細胞死などを解析するための基礎技術の開発が本年度の課題であった。 1.蛍光タンパク質の強制発現による形態形成過程の観察法の確立 特定の細胞種が、形態形成の場でどのように振る舞うか、それらの移動や増殖のパターンを生きたままの状態で観察記録する系の開発を行った。局所導入エレクトロポレーションの応用で、ニワトリ胚内耳原基である耳胞へGFP遺伝子を効率良く導入し、蛍光を観察することに成功した。この過程で浮かび上がってきた新たな課題は、残念ながら孵卵開始後四日目を過ぎると、GFPの発現を胚の外から観察するのは非常に困難であることである。これ対して、次に述べる器官培養を利用するとともに、生体での透過率の高い600-700nmの波長域(赤色)を発する蛍光タンパク質の利用により、より遅い発生段階まで観察できるようになりつつある。 2.三半規管の器官培養系の確立 (1)初期胚の耳胞の培養 細胞の標識を行う2日胚から,耳胞のみを取り出したり神経管と脊索を含む断片を取りだしたりして,種々の培養条件を試しているが,現在のところ4日胚相当より先の発生段階まで進めることは困難である. (2)後期胚の耳胞の培養 組織間相互作用が形態形成にとって重要な時期は比較的早い時期である可能性があるので,より遅い発生段階の耳胞を観察するため,5日胚あるいは6日胚の内耳原基を含む部分を取り出し,器官培養を行い、72時間の培養に成功した.
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