2003 Fiscal Year Annual Research Report
原索動物・ナメクジウオ類の原腸胚における原腸前端部の発生学的役割
Project/Area Number |
14034246
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安井 金也 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (70191111)
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Keywords | ナメクジウオ / 脊索動物 / pitx / 初期体節形成 / 原腸切除 / 組織移植 |
Research Abstract |
原腸陥入開始後に、原口唇が残るように陥入部を破壊して除去すると、胚は再度原腸陥入様の運動をして発生を継続する。再陥入にともない最初にhnf3の背側での発現が出現する。破壊された"原腸"がほぼ回復した頃に、bmp2/4,goosecoid, wnt8,tbx2/3/4/5の発現が認められるようになる。正常胚ではbmp2/4,goosecoidの発現がhnf3の発現に先行するが、処置胚では逆になる。中胚葉と後方の形成に関わるwnt8とtbx2/3/4/5は内層全域に広がり、正常胚でみられる原腸前端の発現しない部位が消失する。しかし、神経胚になるとほぼ正常なパターンに回復する。hnf3は最初に原口背唇部に発現し、その後、原腸前端に独立した発現が認められるほぼ正常なパターンを示すが、発現の順序は逆になる。bmp2/4とgoosecoidは陥入する原腸で最も早く発現する遺伝子であるが、除去胚では発現が消失して、再陥入が進むとほぼ本来の発現パターンに回復する。また、正常胚のotxは陥入する原腸全体に発現して、原腸陥入が進むと原腸前方に限局するパターンを示すが、処置胚では再陥入した層での発現は認められなくなり、神経胚になると将来の脳胞領域と咽頭領域で認められる正常発現パターンを回復する。最も顕著に現れた特徴は、左側特異的に発現するptxの発現が全ステージで消失することである。また、神経胚では傍軸中胚葉の分節化が認められず、側憩室の形成も阻害される。 初期原腸中央部の移植片による二次軸形成は起こらないことが再確認された。移植片はotxを継続して発現するが、移植を受けた多くの個体で神経板前方のotxの発現が減少もしくは消失して、それにともなって、本来otxが発現する原腸前方の形成が不全になる。しかし、これらの因果関係は不明である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shu, DG, Conway Morris, S, Han, J, Zhang, ZF, Yasui, K, Janvier, P, Chen, L, Zhang, XL, Liu, JN, Li, Y, Liu, HQ: "Head and backbone of Early Cambrian vertebrate Haikouichthys"Nature. 421. 526-529 (2003)
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[Publications] Shu, DG, Conway Morris, S, Zhang, ZF, Liu, JN, Han, J, Chen, L, Zhang, XL, Yasui, K, Li, Y: "A new species of yunnanozoan with implications for deuterostome evolution."Science. 299. 1380-1384 (2003)
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[Publications] 安井 金也, 舒 徳干: "脊索動物か、脊索を持った動物たちか-古生物学と分子生物学の統合-"化石. (印刷中). (2004)