2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤ幼生の形態進化に伴う遺伝子プログラムの変化の解析
Project/Area Number |
14034250
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
日下部 岳広 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40280862)
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Keywords | ホヤ / オタマジャクシ型幼生 / 無尾幼生 / 神経系 / 形態進化 / 分子進化 / 進化発生生物学 / 光受容器 |
Research Abstract |
ホヤ神経系特異的遺伝子の単離・同定と発現パターンの解析:神経系の発生に関わる転写因子をコードする遺伝子、脳胞(感覚胞)と運動神経節で特異的に発現する視覚サイクル系遺伝子群、神経伝達物質の代謝や輸送に関与する遺伝子、細胞内シグナル伝達関連遺伝子などをそれぞれ複数個新たに同定し、発現パターンを明らかにした。 ホヤ神経系特異的抗体を用いたホヤ幼生の神経系の多様性の解析:カタユウレイボヤ神経系特異的遺伝子のいくつかについて、それぞれがコードするタンパク質に対するポリクローナル抗体を作製した。これらの抗体を用いてモルグラ属を含むいくつかの種の幼生の免疫染色を行ない、種間で神経系の構造を比較した。その結果、種による大きな違いが観察された。 アンチセンスMオリゴを用いた神経系特異的遺伝子の機能阻害:卵膜が除去されていないカタユウレイボヤ卵にマイクロインジェクションによりMオリゴを導入し、標的タンパク質に対する特異的抗体を用いてその効果の検討を行なった。特定の神経細胞で特異的に発現する2つの遺伝子について実験を行ない、Mオリゴにより特異的に遺伝子産物の産生が阻害されること、その効果は孵化後の遊泳幼生期まで有効であることが示された。 ホヤの光受容器の発生と脊椎動物の眼の起源について:眼の発生や機能に関わる多くの遺伝子がホヤ幼生の入水管原基で発現することを見い出した。この結果と、発生学的な起源の比較などから、ホヤ成体の入水管付近の光受容器が脊椎動物の眼と相同で、ホヤ幼生の眼点は松果体と起源を一にするという新しい仮説に至った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Takehiro Kusakabe: "Gene expression profiles in tadpole larvae of Ciona intestinalis"Developmental Biology. 242・2. 188-203 (2002)
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[Publications] Yutaka Satou: "Ciona intestinalis cDNA projects : EST analyses and gene expression profiles during embryogenesis"Gene. 287・1-2. 83-96 (2002)
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[Publications] Reiko Yoshida: "Central nervous system-specific expression of G protein alpha subnits in the ascidian Ciona intestinalis"Zoological Science. 19・10. 1079-1088 (2002)
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[Publications] Takehiro Kusakabe: "Phototransduction and visual cycle in the ascidian tadpole larva"Journal of Photoscience. 9・2. 37-40 (2002)
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[Publications] Yuki Nakashima: "Origin of vertebrate visual cycle : genes encoding retinal photoisomerase and two putative visual cycle proteins are expressed in whole brain of a primitive chordate"Journal of Comparative Neurology. (印刷中). (2003)