2002 Fiscal Year Annual Research Report
膵ランゲルハンス島前駆細胞の単離とそれを用いた再生療法の試み
Project/Area Number |
14034252
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
綿田 裕孝 順天堂大学, 医学部, 講師 (60343480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 昇弘 順天堂大学, 医学部, 講師 (50338315)
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Keywords | Nkx2.2 / 膵β細胞 / 発生 / 分化 / インスリン / Pur1 |
Research Abstract |
今回我々は、Nkx2.2-1bプロモーターがいかにして、その膵島前駆細胞特異的プロモーター活性を有するのか、また、Ngn3との、膵β細胞分化過程におけるhierarchyにおける関係を明らかにする目的でNkx2.2-1bの膵島前駆細胞特異的遺伝子発現機構の解明を行った。様々な長さを有するプラスミドをNkx2.2-1bの発現が認められるZ13細胞、及びその発現のないNIH3T3細胞、膵β細胞由来の細胞株βTC3細胞に遺伝子導入し、ルシフェラーゼ活性を用いて転写活性を測定した。いずれの長さのNkx2.21bレポーター遺伝子もNIH3T3細胞、βTC3細胞と比較してZ13細胞では転写活性が有意に上昇していた。また、-89bpから-58bpのdeletionに伴い転写活性が強く減弱した。従って、-89bpから-58bpの領域にNkx2.2発現に関与する重要な配列が存在することが示唆された。そこで、-89bp〜-54bp領域(B1領域)を4つ結合したDNA fragmentをプロラクチンミニマルプロモーターの上流に組み込んだルシフェラーゼ発現プラスミドを作成し、Z13細胞に遺伝子導入した後ルシフェラーゼ活性を測定した。上記fragmentの挿入に伴いプロラクチンミニマルプロモーターの転写活性が18倍上昇した。しかし、βTC3細胞では転写活性は上昇せず、上記fragmentの活性化には細胞特異性が存在した。1型糖尿病の原因遺伝子の1つとしてIDDM2遺伝子がある。IDDM2遺伝子はインスリン遺伝子の上流に位置するGC richの繰り返し配列であることが同定されており、膵β細胞においてはその領域に転写因子Pur1が結合することが知られている。B1領域もIDDM2と同様にGC richな構造を持つことから、B1領域のプローブに対してPur1 motifをcompetitorと用いEMSAを施行したところ、プローブの核蛋白への結合が阻害された。前記のB1領域をプロラクチンミニマルプロモーターに組み込んだプラスミドとPur1強制発現プラスミドをZ13細胞にトランスファクションしたところ、転写活性が更に2倍亢進した。
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