2003 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子FAST-1を用いた形態形成遺伝子の網羅的探索と機能解析
Project/Area Number |
14034253
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
渡部 稔 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60338952)
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Keywords | シグナル伝達 / 形態形成 / 発現制御 / 発生・分化 / cDNAアレイ / アフリカツメガエル / 転写因子 / 中胚葉 |
Research Abstract |
転写因子FAST-1はNodalシグナルの下流転写因子として、動物の形態形成に中心的な役割をはたしている。本研究では、cDNAアレイを用いてFAST-1の標的遺伝子をアフリカツメガエルより探索し、得られた遺伝子の機能解析を通じて、動物の初期形態形成に重要な遺伝子ネットワークを解明することを目的としている。平成15年度は、前年度のスクリーニングから得られたFAST-1標的候補遺伝子のうち、Zinc fingerタイプの転写因子をコードするXSPR-2b遺伝子についてさらにくわしい解析を行った。この遺伝子はアフリカツメガエルの初期発生の過程で、中胚葉や神経外胚葉の領域で強く発現していた。予定外胚葉を用いた実験では、XSPR-2b遺伝子はNodal/FAST-1シグナルだけでなくBMP、FGFシグナルによっても発現が誘導された。初期胚でXSPR-2b遺伝子を発現させると、中胚葉遺伝子(Xbra)の異所的な発現が誘導された。逆に機能阻害型のXSPR-2b遺伝子の発現により、胚でのXbraの発現が抑制された。これらの結果から、この遺伝子が中胚葉の形成・分化に関わっていることが強く示唆された。さらに転写の活性化型あるいは抑制化型に改変したXSPR-2b遺伝子の実験から、野生型のXSPR-2b遺伝子は転写の抑制化因子をコードしていることが示された。XSPR-2b遺伝子による中胚葉遺伝子の発現誘導の機能メカニズムを調べるために、XSPR-2b遺伝子の標的遺伝子のスクリーニングをcDNAアレイを用いて行ない、約150の標的遺伝子を得た。このうち約130の遺伝子の胚での発現パターンを現在までに調べている。今後はXSPR-2b遺伝子のさらに詳細な機能メカニズムの解析を行ない、中胚葉形成におけるXSPR-2b遺伝子の機能をあきらかにしていきたい。
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