2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14034254
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仲嶋 一範 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90280734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
味岡 逸樹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10348790)
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Keywords | 神経細胞移動 / 細胞選別機構 / 層形成 / 大脳皮質構築 |
Research Abstract |
発生期大脳皮質の脳室帯と中間帯を含む領域を蛍光色素でラベルした後、再凝集培養を行った。その結果、次第に強い蛍光の細胞(培養開始時に既に最終分裂を終えていた細胞)と、弱い蛍光の細胞(培養開始後に分裂した細胞)の二種に分かれた。そして、凝集塊において次第に強い蛍光を持った細胞が凝集塊の中心近くに集まる傾向を示した。この結果は、早生まれの細胞と遅生まれの細胞では、それぞれが特異的に凝集する傾向を有することを示唆する。この実験で"早生まれの細胞"とは、培養開始時に既に最終分裂を終えて中間帯を移動中の細胞であったと推定され、一方、"遅生まれの細胞"とは、培養開始時点においてまだ脳室帯にあって分裂能力を持っていた細胞と推定される。そこで次に、中間帯と脳室帯とをさらに切り分けて、各々別の色の蛍光色素でラベルした後、両者を混ぜて、再凝集培養実験を行ってみた。その結果、予想通り、中間帯に由来する細胞は凝集塊の中心近くに有意に集まる傾向があることが確認された。そこで次に、ブロモデオキシウリジンを種々の発生時期に投与して、各々の時期に最終分裂した細胞をラベルしたのち、脳室帯と中間帯を含む領域を切り出して、同様の培養実験を行った。まずは、胎生14日または15.5日にラベルし、胎生16日に培養を開始した。その結果、胎生14日生まれの細胞の方が、胎生15日生まれの細胞よりも、凝集塊の中心近くに集まる傾向を示した。胎生16日において、胎生14日にラベルされる細胞は多くが既に中間帯まで移動しており、一方、胎生15.5日にラベルされる細胞は胎生16日においてはまだ殆どが脳室帯に局在することも確認した。そこで次に、同様に胎生13日または14日にブロモデオキシウリジンでラベルし、胎生14.5日で培養を行ってみた。その結果、胎生13日生まれの細胞は、既に多くが14.5日においては中間帯に出ていたにもかかわらず、凝集塊の周辺近くに局在する傾向を示し、一方、胎生14日生まれの細胞は、14.5日においてはまだ殆どが脳室帯にあったにも関わらず、凝集塊の中心近くに局在する傾向を有することを見いだした。以上より、脳室帯で産生された神経細胞は、辺縁帯直下まで移動しなくても、その誕生時期に依存して相互に凝集する傾向を有することが示唆された。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Ken-ichiro Kubo: "Secreted Reelin molecules form homodimers"Neurosci. Res.. 43. 381-388 (2002)
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[Publications] Hidenori Tabata: "Neurons tend to stop migration and differentiate along the cortical internal plexiform zones in the Reelin signal-deficient mice"J. Neurosci. Res.. 69. 723-730 (2002)
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[Publications] Ken-ichiro Kubo: "Cell and molecular mechanisms that control cortical layer formation in the brain"Keio J. Med.. (In press).
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[Publications] Takao Honda: "Cellular and molecular mechanisms of neuronal migration in neocortical development"Sem. in Cell & Develop. Biol.. (In press).
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[Publications] 仲嶋一範: "大脳皮質形成のメカニズム"慶應医学. 79. 135-143 (2002)
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[Publications] 工藤千加子: "神経細胞の移動と配置決定のメカニズム"Brain Medical. 14. 371-377 (2002)
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[Publications] 田畑秀典: "大脳皮質神経細胞の移動様式"神経細胞移動と軸索伸長のダイナミクス(蛋白質 核酸 酵素). 47. 1994-2001 (2002)
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[Publications] 仲嶋一範: "大脳皮質構築とReelin"Annual Review神経2003. 10-17 (2003)
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[Publications] 田畑秀典: "組織幹細胞:神経(細胞移動)"再生医学(Molecular Medicine臨時増刊号). 40. 287-297 (2003)
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[Publications] 仲嶋一範: "遺伝子導入・発現解析プロトコール"羊土社(印刷中). (2003)