2002 Fiscal Year Annual Research Report
体腔内における、内臓器官の三次元配置を決定する遺伝的機構に関する研究
Project/Area Number |
14034256
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松野 健治 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (60318227)
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Keywords | 左右軸 / 左右非対称 / ショウジョウバエ / 消化管 / 遺伝的スクリーニング / 体軸 / 形態形成 / 発生 |
Research Abstract |
多くの動物では、体腔中での内蔵器官の配置に、遺伝的に制御された種固有のパターンがみとめられる。我々は、遺伝学的アプローチを用いた研究が展開できるショウジョウバエの消化管が、明瞭な左右非対称性を示すことに着目してきた。本研究では、ショウジョウバエ消化管の左右性に異常を示す突然変異体の遺伝的スクリーンによって、消化管の左右非対称な三次元配置に関与する遺伝子を同定し、消化管の左右性を制御する遺伝的ネットワークを明らかする。 既存のトランスポゾン挿入突然変異体の約2,500系統について、それぞれ、ホモ接合体胚を作出し、消化管逆位を示す突然変異体を検索した。その結果、中腸と後腸が、約50%の頻度で、野生型のミラーイメージになる突然変異体を同定し、southerと命名した。southerの責任遺伝子を、約100の遺伝子を含むゲノム領域内に限定することに成功した。また、約200系統の染色体欠失突然変異体(総和として、ゲノムの70〜80%の染色体領域を欠失)についても、ホモ接合体の胚を作出して、消化管の左右性の異常を調べた。その結果、100程度の遺伝子を含む欠失突然変異体において、約50%の確率で、中腸と後腸が、野生型のミラーイメージになった。この責任遺伝子を、left turnと命名し、単一の遺伝子座としての同定を試みている。 ショウジョウバエ胚発生で、最初に観察される左右非対称性を調べた。消化管のいろいろな領域で、グリーン蛍光タンパク質を発現するショウジョウバエ系統を用いて、共焦点レーザー顕微鏡によるタイム・ラプス撮影をおこなった。その結果、ステージ11の肛門陥入において、陥入口付近の形態に左右非対称性が存在することを明らかにした。原腸に相当する肛門陥入に左右性が観察されたことは、予想外の発見であり、このような、原腸における左右非対称性は、脊椎動物においては報告されていない。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shigeo Takashima: "Cell-fate choice and boundary formation by combined action of Notch and engrailed in the Drosophila hindgut"Dev.Genes Evol.. 212. 534-541 (2002)
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[Publications] Momoko Hase: "Expression and characterization of Drosophila X11-like/Mint protein during neural development"J.Neurochem.. 81. 1223-1232 (2002)
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[Publications] Kenji Matsuno: "Involvement of a proline-rich motif and RING-H2 finger of Deltex in the regulation of Notch signaling"Development. 129. 1049-1059 (2002)