2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒラメ・カレイ類の身体に左右非対称性をもたらす発生機構の解明
Project/Area Number |
14034275
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
鈴木 徹 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所・生産技術部, グループ長 (70344330)
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Keywords | 遺伝子 / 細胞・組織 / 動物 / 発生・分化 / 変態 |
Research Abstract |
ヒラメにおける内臓と身体の左右非対称性形成過程の形態的観察、眼の移動方向が逆位になったヒラメ突然変異体(reversed)の表現型の解析、胚から仔魚期における左右軸形成因子の発現解析を行った。内臓と身体の非対称性の形成が始まる時期は、ヒラメでは14-20日隔たっていた。内臓の左右性を決定するpitx2の発現は、孵化時期には既に終了している。reversed胚では、pitx2の発現は、正常胚と同様に左体側に発現する胚(43%)、両体側に発現する胚(53%)、右体側に発現する胚(4%)に分かれた。この結果から、reversedでは、内臓の左右非対称性の制御機構がランダム化されていると考えられた。また、leftyおよびnodalの発現もpitx2と同様なパターンであったことから、原因遺伝子reversedは、左右非対称性形成の分子カスケードのなかで、nodalよりも上流に位置するものと推定している。内臓と眼の表現型から、reversedは、内臓の左右非対称性形成のみならず、変態に伴う眼の移動方向の制御にも関わること、ただし、reversedを含む左右非対称性形成のカスケードは内臓と眼では独立している可能性を推定した。左右軸決定遺伝子であるcharon、nodalおよびleftyの発現は、胚発生後、仔魚初期のB〜C期に一端完全に停止し、眼の移動の始まる直前のD期から再び活性化した。胚期から仔魚期のあいだに左右軸形成因子の遺伝子発現がオン・オフされるのが、明瞭な変態を行うヒラメの特徴である可能性がある。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hashimoto, H., Mizuta, A., Okada, N, Suzuki, T., Tagawa, M., Tabata, K., Yokoyama, Y., Sakaguchi, M., Tanaka, M., Toyohara, H.: "Isolation and characterization of a Japanese flounder clonal line, reversed, which exhibits reversal of metamorphic left-right asymmetry"Mechanisms of Development. 111. 17-24 (2002)