2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14035242
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
阿形 清和 理化学研究所, 進化再生研究グループ, グループディレクター (70167831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 輝 理化学研究所, 生殖系列研究チーム, チームリーダー (90323245)
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Keywords | 再生 / 幹細胞 / クロマトイド小体 / DEAD box型RNA helicaae / 神経細胞 / 生殖細胞 / プラナリア / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
プラナリアの高い再生能は未分化な幹細胞である新生細胞により支えられている。新生細胞中には、クロマトイド小体とよばれる構造物が電子顕微鏡下で観察される。クロマトイド小体の機能のひとつとして、細胞分化に必要な因子をコードするmRNAを核から細胞質へと移送し、翻訳制御を行う場であることが推測されている。そこで、転写後制御に関与するさまざまなRNA結合タンパク質がクロマトイド小体に含まれていると予想し、ESTプロジェクトにより得られたRNA結合タンパク質をコードする遺伝子について発現解析を行った。そのうちのひとつである1352HH遺伝子はATP依存性DEAD box型RNA helicaseをコードし、酵母、ハエ、脊椎動物で保存されたRCK/p54/Me31B familyに属していた。このmRNAは、脳の一部の分化した神経細胞と、間充織の未分化な新生細胞で発現していた。この遺伝子がコードするタンパク質を特異的に認識する抗体を作製し、タンパク質の分布を調べたところ、mRNAの分布と一致し、脳の神経細胞と間充織の新生細胞で発現していた。この抗体を用い、電子顕微鏡レベルでの抗体染色により、新生細胞中でのタンパク質の分布を調べたところ、クロマトイド小体に局在していることを明らかにした。1352HH相同遺伝子は、他の動物種で翻訳のマスキングに関わることが知られているため、クロマトイド小体の機能のひとつとして、mRNAを蓄積し、翻訳の調節を行う場であることが予想される。また、有性化個体においては、このタンパク質は生殖細胞中でも発現していた。プラナリアにおいては、クロマトイド小体を持つ未分化な新生細胞だけでなく、神経細胞や生殖細胞中でもRNAの転写後制御が重要であることが示唆される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Styhler, S., Nakamura, A., Lasko, P.: "VASA localization requires the SPRY-domain and SOCS-box containing protein, GUSTAVUS"Dev. Cell. 3. 865-876 (2002)
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[Publications] Inoue, B.S., et al.: "A role for the Drosophila fragile X-related gene in circadian output"Curr. Biol.. 12. 1331-1335 (2002)
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[Publications] Sano, H., Nakamura, A., Kobayashi, S.: "Identification of a transcriptional regulatory region for germline-specific expression of vasa in Drosophila melanogaster"Mech. Dev.. 112. 129-139 (2002)