2002 Fiscal Year Annual Research Report
PrP pre-mRNA 3'プロセッシング異常と神経細胞死の分子機構解明
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14035244
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂口 末廣 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60274635)
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Keywords | プリオン蛋白 / 神経変性 / ノックアウトマウス / intergenic splicing / プルキンエ細胞 / プリオン蛋白類似蛋白 / pre-mRNA / 3'プロセッシング |
Research Abstract |
我々が作製したプリオン蛋白(PrP)欠損マウスでは、残存PrPのプロモーターから転写されたpre-mRNAは、PrPの最終エクソンにポリAシグナルが存在するにも関わらず、3´プロセッシングに異常を来し、下流に存在するPrP類似蛋白(PrPLP)の翻訳領域を含む最終エクソンまで伸長していた。その後、PrPとPrPLP遺伝子の間でintergenic splicingが起こり、残存PrPとPrPLPとからなるキメラmRNAが産生され、PrPLPが脳内に過剰発現するようになっていた。今回、pre-mRNAの3´プロセッシングの分子機構を解明するため、まずPrP欠損マウスで欠損しているどの領域がこの異常に関与しているのか検討することにした。このため、欠損部位を含む約3kbのPrP遺伝子をPrPLP遺伝子の最終エクソンに繋ぎ、上流にsplicing donor siteを持つ発現ベクターに挿入した。また、責任部位を決定するために、欠損部位の様々な領域を欠くコンストラクトも構築した。この時、PrPのORFを赤色蛍光蛋白遺伝子のORFと、PrPLPのORFを緑色蛍光蛋白遺伝子のORFと置換し、3´プロセッシングの異常を蛍光で簡便に検出できるようにした。これらのコンストラクトをCOS7細胞に導入した結果、PrP遺伝子の最終エクソンに隣接するイントロン2の28bpが責任部位であることが分かった。さらに、この領域に存在するsplicingに必要なsplicing acceptor siteやbranching siteに変異を導入し結果、これらの変異は正常な3´プロセッシングを阻害した。このことは、pre-mRNAの3´プロセッシングとスプライシングが機能的に関連していることを示した。
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