2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14036201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 興太朗 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80142008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿引 雅昭 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70396282)
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Keywords | オーキシン / 偏差成長 / 伸長成長 / 屈性 / 稔性 / 受粉 / 雄蘂 / 花糸 |
Research Abstract |
オーキシンによって調節される屈性反応のマスター遺伝子と考えられるMSG2/IAA19の機能を明らかにするために、屈性反応時の同遺伝子の発現をプロモーターGUSレポーター遺伝子を用いて調べた。その結果、3日齢黄化芽生え胚軸上部では均一にみられるシグナルが、青色光刺激を側方の一方向から与えると、照射側のシグナルが低下することによって、24時間後には胚軸の横方向に偏差的なシグナルが生じることがわかった。最も強いシグナルは胚軸の内鞘で観察されるが、内鞘でも青色光刺激後、偏差的なシグナルが生じた。同様な偏差的シグナルは重力刺激でも観察され、屈性反応時にはMSG2の偏差的発現調節が起こることがわかった。msg2突然変異体は稔性が低いので、次にその原因を研究した。msg2の花粉を人工授粉すると正常な稔性を示すので、msg2は配偶子形成は正常である。雌蘂と雄蘂の成長を観察すると、花が若いときは雌蘂の成長に比べて雄蘂の成長が遅くなっているが、開花する項雄蘂の成長が一段と促進され、その結果、雄蘂の長さが雌蘂の長さを追い越し、受粉が成立する。msg2では、開花時の雄蘂の成長促進が起こらず、その結果受粉の確率が低下していることがわかった。雄蘂の伸長は花糸が担っているが、花糸表皮の細胞列を構成する細胞数を調べると花糸の長さに関わらず一定であることから、花糸の伸長成長は、細胞分裂の増加によるのではなく、細胞伸長の促進で起こることもわかった。MSG2遺伝子発現をプロモーターGUSを用いて調べたところ、MSG2は花では雄蘂特異的に発現し、しかも雄蘂が雌蘂に比べて一段と伸長するとき以降に発現することがわかった。以上のことから、花の受粉に関わる花糸の伸長の一層の促進をMSG2が調整していることがわかり、同遺伝子は偏差的成長ばかりでなく、器官によっては均一な成長反応も調節していることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)