2005 Fiscal Year Annual Research Report
茎頂根端軸の形成・維持を支配する細胞間相互作用の解析
Project/Area Number |
14036205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 裕穂 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10165293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出村 拓 理化学研究所, 植物科学研究センター, チームリーダー(研究職) (40272009)
澤 進一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00315748)
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Keywords | シロイヌナズナ / 細胞間相互作用 / メリステム / 前形成層 / 小胞輸送 / 維管束 / 葉酸 / 突然変異体 |
Research Abstract |
1)シロイヌナズナ変異体を用いた維管束の連続性に関する研究: 維管束の連続性が異常になるシロイヌナズナ突然変異体van3、van4の原因遺伝子の機能解析を進めた。van3変異体にpVAN3::VAN3-3xmyc、pVAN3::VAN3-VENUSを導入し、van3変異を相補した植物体を用いて局在解析を行った。その結果、VAN3はTGNのraft様構造に局在し、raft様構造に存在する特定分子をある方向性をもって細胞膜へ輸送する働きがあると考えられた、VAN4は機能未知のタンパク質をコードしていたが、細胞内局在をVAN3と同様な方法で解析したところ、特定のエンドソームに局在することが明らかとなり、このタンパク質もまた小胞輸送に関与することが明らかとなった。 2)発生における局所的細胞間相互作用の解析: 前形成層に発現するGGH遺伝子の機能解析を行った。その結果、葉酸のグルタミン酸鎖切断能を持つことが明らかとなっているGGHの過剰発現時には子葉の融合、ロゼット葉形成の遅延、茎頂分裂領域の縮小といったメリステム活性の低下を示唆する異常な表現型が観察された。一方、シロイヌナズナゲノム中に三つ存在するGGH遺伝子全ての発現抑制植物体では、葉身における異所的な分裂組織形成、花器官数の増加、小花柄における苞葉の形成というメリステム活性の上昇を示唆する典型的な表現型が観察された。また、葉酸生合成阻害剤添加により根の伸長阻害や茎頂分裂領域の縮小がおこり、その効果は多グルタミン酸鎖型葉酸の添加により回復した。一方、単グルタミン酸鎖型葉酸添加によっては回復しなかった。さらに、培養細胞の管状要素への分化誘導時において、多グルタミン酸鎖型葉酸は阻害的に働くのに対し、単グルタミン酸鎖型葉酸は阻害効果を持たなかった。これらの結果から、多グルタミン酸鎖型葉酸が幹細胞の未分化状態の維持に必須であると考えられた。
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Research Products
(12 results)