2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14036228
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
塚谷 裕一 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (90260512)
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Keywords | 葉形態形成 / 発生遺伝 / 分子遺伝学 / シロイヌナズナ / 極性 / 細胞分裂 / 細胞伸長 |
Research Abstract |
葉細胞分裂の極性制御:細葉の変異体an3について詳細な解析を行なった結果、an3では葉の細胞数が縦にも横にも減る一方、細胞サイズのいわゆる補償作用により葉の長さが正常化していることが明らかとなった。クローニングの結果、AN3がco-activatorをコードすること、葉原基の細胞分裂領域で特異的に発現すること、過剰発現で葉が大型化すること等が明らかとなった。さらにAN3と相互作用する因子のtwo-hybrid系による同定にも成功し、現在、それら因子との相互作用が、どのように葉の発生に影響するのかを解析している。本計画は、次年度、特に大きな成果をもたらすことが期待される。 また葉の縦方向への細胞数が減少するアクティベーションタグラインから、ゲノムプロジェクトで見落とされていた遺伝子・ROT4を見いだした。この配列を元にゲノムを検索した結果、ROT4は新規かつ種子植物特異的なペプチド遺伝子ファミリーの一員であることも判明した。この遺伝子ファミリーで高度に保存される領域のみを発現させても、葉の短小化が認められ、GFP融合型遺伝子産物は細胞膜に局在した。本来の発現部位は若い葉原基であることも確認された(Narita et al.,in press)。 葉細胞の極性伸長制御系:横幅を制御するAN遺伝子産物について、動物のホモログCtBPと比較しつつ、その機能ドメインの解析を行なった結果、CtBPとは蛋白蛋白相互作用の様式が大きく異なり、AN特異的なC末部分に依存していること、ANに特異的でCtBPにない諸ドメインの多くは、葉の形態制御機能に必須ではないことなどが判明した(Cho et al.,in prep.)。現在、two-hybridスクリーニングでANとの相互作用の見られた候補クローンの解析を急いでいる。一方、縦長を制御するROT3と、それに配列上最も類似したCYP90D1との酵素機能について、韓国・東亜大および理研と共同で解析した結果、ROT3はTY→CS、CYP90D1はCT→TEの代謝変換過程を司っていることが、強く示唆された(Kim et al.,submitted)。 葉の左右対称性の制御系との関連:AS2遺伝子(Iwakawa et al.2002)の変異の表現型を劇的に強める変異bopについて、名大・町田研究室、韓国・南研究室と共同で解析した結果、BOPは、葉原基でのKNOX遺伝子発現抑制を司る新たな因子であることが判明した(Ha et al.2003)。現在、クローニング結果に基づくBOPの機能解析を行なっている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ha, C.-H., Kim, G.-T., Kim, B.-C., Jun, J.-H., Soh, M.-S., Ueno, Y., Machida, Y., Tsukaya, H., Nam, H.-G.: "The BLADE-ON-PETIOLE gene control leaf pattern formation through regulation of meristematic activity."Development. 130. 161-172 (2003)
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[Publications] Sulpice, R., Tsukaya, H., Nonaka, H., Mustardy, R., Chen, T., Murata, N.: "Enhanced formation of flowers in salt-stressed Arabidopsis after genetic engineering of the accumulation of glycine betaine."Plant J.. 36. 165-176 (2003)
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[Publications] Narita, N.N., Moore, S., Horiguchi, G., Kubo, M., Demura, T., Fukuda, H., Goodrich J., Tsukaya, H.: "Over-expression of a novel small peptide ROTUNDIFOLIA4 decreases of cell proliferation and alters in Arabidopsis."Plant J.. (in press). (2004)
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[Publications] Tsukaya, H.: "Organ shape and size : a lesson from studies of leaf morphogenesis."Curr.Opin.Plant Biol.. 6. 57-62 (2003)
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[Publications] 塚谷裕一: "葉の形とサイズは環境に応じて変化する--葉形の可塑性と進化--"遺伝. 57. 54-59 (2003)
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[Publications] Machida, C., Iwakawa, H., Ueno, Y., Semiarti, E., Tsukaya, H., Hasebe, H., Kojima, S., Machida, Y(分担): "Sekimura, T., Noji, S., Ueno, N. and maini, P.K. eds., Morphogenesis and Pattern Formation in Biological Systems : Experiments and Models."Springer-Verlag Tokyo.. 398 (2003)
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[Publications] 塚谷裕一(分担執筆): "『生物の形の多様性と進化』関村利朗・野地澄晴・森田利仁編"裳華房. 352 (2003)