2002 Fiscal Year Annual Research Report
生物時計に関与する分子シャペロンとATP依存性プロテアーゼの同定とその作用機構
Project/Area Number |
14037227
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石浦 正寛 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 教授 (20132730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 康雄 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70154507)
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Keywords | 生物時計 / 時計タンパク質 / KaiC / 電子顕微鏡 / 単粒子解析 / 六量体リング構造 / 好熱性藍植細菌 / Thermosynechococcus elongatus Bp-1 |
Research Abstract |
多くの生物において、様々な生理現象の活性が24時間の周期で変動することが知られており、我々はこの細胞内のリズム発振分子機構を「生物時計」と呼んでいる。この生物時計は、地球の自転に伴い24時間周期で繰り返される光や温度などの外部環境の変化に適応するための機構と考えられている。我々は藍色細菌で生物時計の中核遺伝子クラスターkaiABCを同定し、その発現機構を分子遺伝学的に詳細に解析した。今後は生物時計を非常に精巧な分子装置である「生物時計装置」と捉え、生物時計装置を構築する時計タンパク質、時計関連タンパク質の諸性質・物性を生化学的・生物物理化学的・構造生物学的手法を用いて解明する。生物時計装置を構築する部品の一つとして分子シャペロンやプロテアーゼを不可欠である。生物時計に関与する分子シャペロンやプロテアーゼとして、生物時計特異的なタンパク質と、既存の分子シャペロンやプロテアーゼが考えられる。今年度は前者の考え方に立ち実験を行った。 ATP依存性プロテアーゼの一つであるClpAと構造的類似性のあるKaiCに焦点を当てた。ClpAには一次構造中の二個所にWalker's motif Aがあり、それぞれの役割が明らかになっている。KaiCにも一次構造中の二個所にWalker's motif Aが存在するのでそれらの役割解明をめざしたところ、一つは六量体形成のためのKaiCサブユニットの相互作用に、もう一つは六量体型KaiCの熱安定性に効果を示した。このことから六量体型KaiCは六量体形成過程と構造の安定化仮定の二過程を経て存在することを見いだした。ATPase活性は現在のところ検出できていないが、KaiCを基質としたプロテインキナーゼ活性を検出し、詳細な解析を行っている。今後はClpPとの相互作用、ATPase活性測定、ATPase活性を促進する基質探索に焦点を当てる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Fumio Hayashi: "ATP-induced Hexamer formation and structure of the cyanobacterial circadian clock protein KaiC"Genes to Cells. 8・3. 287-296 (2003)
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[Publications] Ronald Brudler: "Identification of a new cryptochrome class : structure, function and evolution"Molecular Cell. 11. 59-67 (2003)