2002 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド線維形成反応の蛋白質立体構造に基づく研究
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14037237
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
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Keywords | β2ミクログロブリン / アミロイド線維 / アミロイド病 / 蛋白質 / フォールディング / NMR / 重水素交換 / 一分子観察 |
Research Abstract |
アミロイド線維は、蛋白質の一生に関わる極めて重要、かつ興味深い問題である。本研究の目的は、「アミロイド線維形成の分子機構を、蛋白質の立体構造に基づいて原子レベルで理解する」ことである。核磁気共鳴(NMR)を中心とする生物物理的手法によって、β2ミクログロブリンのアミロイド線維の構造物性を詳細に解析した。また、蛍光顕微鏡によって、アミロイド線維形成反応を単一分子レベルで解析した。 (1)NMR解析:アミロイド線維の重水素交換、ジメチルスルフォキシドによる溶解、NMR解析、を組み合せた斬新な手法によりアミロイド線維の内部構造を調べた。β2ミクログロブリンは剛直なアミロイド線維を形成すると共に、特定の条件下(高塩濃度条件やジスルフィドを還元した標品)では細くて極めて柔軟なフィラメント構造を形成した。フィラメント状構造が、剛直な線維に比べて柔軟な構造であることを残基レベルで示した。 (2)顕微鏡観察:全反射蛍光顕微鏡を用いてβ2ミクログロブリンのアミロイド線維形成反応を1分子観測した。さらにβ2ミクログロブリンで得られた結果の普遍性を、アルツハイマーAβアミロイドで検証した。 (3)フラグメントを用いた解析:β2ミクログロブリンのアミロイド線維は20残基程度のフラグメントでも形成することができる。K3ペプチドと呼ぶアミノ酸残基番号20-40のペプチドフラグメントのアミロイド線維の構造安定性をさまざまな溶媒条件下でCDやNMRを用いて解析した。この結果、K3ペプチドはβ2ミクログロブリンのアミロイド線維形成の開始点であるとともに線維のコアを形成することが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Martsev, S.P.: "Amyloid fibril formation of mouse VL domain under acidic pH"Biochemistry. 41(10). 3389-3395 (2002)
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[Publications] Hoshino, M.: "Mapping of the core of the β2-microglobulin amyloid fibril by H/D exchange"Nature Struct. Biol.. 9(5). 332-336 (2002)
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[Publications] Katou, H.: "The role of disulfide bond in the amyloidogenic state of β2-microglobulin studied by heteronuclear NMR"Protein Sci.. 11(9). 2218-2229 (2002)
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[Publications] Hong, D.-P.: "Conformation of β2-microglobulin amyloid fibrils analyzed by reduction of the disulfide bond"J. Biol. Chem.. 277(24). 21554-21560 (2002)
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[Publications] Sakurai, K.: "Manipulating monomer-dimer equilibrium of bovine β-lactoglobulin by amino acid substitution"J. Biol. Chem.. 277(28). 25735-25740 (2002)
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[Publications] 後藤祐児: "β2ミクログロブリンのアミロイド線維形成"蛋白質核酸酵素. 47(6). 663-669 (2002)