2002 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類変異株細胞を用いた後期エンドソーム多胞体における分子選別機構の解明
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14037270
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
大橋 正人 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (90290915)
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Keywords | エンドソーム / 変異株 / メンブラントラフィック / TIP47 / 脂肪滴 / NAD(P)Hステロイド脱水素酵素様タンパク質 / コレステロール代謝 / CHILDシンドローム |
Research Abstract |
我々はこれまでに、哺乳類変異株細胞を用いた解析により、後期エンドソーム多胞体(MVB)からトランスゴルジネットワーク(TGN)方向への選別輸送にコレステロールが必要とされることを示した。LEX2変異株細胞は、MVBからのTGN、リソソームへの2方向の輸送が傷害されている。LEX2にコレステロール後期合成系の酵素であるNAD(P)Hステロイド脱水素酵素様蛋白質(Nsdh1)を発現させることでTGN方向への輸送異常が修正される。 本年度は、この選別輸送過程のコレステロール要求性に関連すると考えられる、Nsdh1を含むいくつかのタンパク質分子の作用メカニズムに関して知見を得るため解析を進めた。これまでに、Nsdh1が、IGF2/MPRをTGN方向への輸送小胞の形成部位に集合させる機能タンパク質であると予想されているTIP47とともに、細胞内の脂肪滴(lipid droplet)の表面に濃縮して存在するということを発見した。細胞の増殖がNsdh1を介するコレステロール合成に完全に依存する条件でも、Nsdh1が脂肪滴上に局在することから、活性を持つNsdh1が脂肪滴上に存在すると考えられる。ところが、ヒト胎児発生異常であるCHILDシンドロームの原因となるミスセンス変異G205Sを持つNsdh1は、脂肪滴上に局在することができず、不活性型であった。これらのことは、コレステロール合成系が、これまで考えられていたように小胞体に一様には存在せず、特定のドメインに偏在していることを示すとともに、MVBでの機能分子の選別輸送に脂肪滴表面のタンパク質、脂質分子、およびその合成系が協調して働いているという予期しなかった可能性を示唆した。現在、詳しく解析を進めるため、LEX2変異株を材料に用いて、MVBからのコレステロール依存的な選別輸送の無細胞での再構成を進めている。
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Research Products
(1 results)