2002 Fiscal Year Annual Research Report
キャリアドープされたモット絶縁体の電子状態に関する理論的研究
Project/Area Number |
14038203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠山 貴巳 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70237056)
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Keywords | ストライプ秩序 / 高温超伝導体 / モット絶縁体 / t-J模型 |
Research Abstract |
モット絶縁体へのキャリアドープは、スピンと電荷の自由度に起因した多彩な現象を生み出す。本研究の目的は、銅酸化物絶縁体にドープされたキャリアがもたらす多彩な電子状態を、キャリアとスピン自由度との相互作用という観点から理論的に解明することにある。このときキャリアはホールドーピングや電子ドーピングの他に、光励起によっても導入される。本研究の特色は、これら三種類のキャリアドープに関するこれまでの研究成果を統合・発展させることにより、ホールドーピング、電子ドーピング、光ドーピングで得られる異なる種類のキャリアに起因する電子状態の特徴を調べ、銅酸化物における電荷とスピンの相互作用についての統一的な知見を得ることにある。 このような観点から本年度は、まずホールドーピングと電子ドーピングに関するモット絶縁体の電子状態を調べた。t-J模型やハバード模型に対して計算物理学的な手法を用いることにより、化学ポテンシャルやエントロピーなどの熱力学量のドーピング依存性を調べ、電子ドープ型とホールドープ型の電子状態の類似点・相違点を明らかにした。さらに、ホールドーピングに関して、スピン・電荷ストライプ秩序とその揺らぎが様々な物理量に及ぼす効果を明らかにするため、ストライプ秩序の形成に伴うゼーベック係数の特異な振る舞いの起源を解明した。この成果は現在、Physical Review Letters誌に投稿中である。次いで、光ドーピングによる電子状態の変化を明らかにするため、2マグノンラマン散乱の入射光エネルギー依存性を調べた。その結果、この依存性の特異な振る舞いが、強相関効果によること、とりわけキャリアの周りに存在している局在スピンとの相互作用によることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Mori, T.Tohyama, S.Maekawa: "Electronic states and superconductivity in multi-layer high-Tc cuprates"Physical Review B. 66・6. 064502(1)-064502(7) (2002)
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[Publications] M.Takahashi, T.Tohyama, S.Maekawa: "Nonlinear optical response in two-dimensional Mott insulators"Physical Review B. 66・12. 125102(1)-125102(8) (2002)
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[Publications] T.Tohyama, H.Onodera, K.Tsutsui, S.Maekawa: "Resonant two-magnon Raman scattering and photoexcited states in two-dimensional Mott insulators"Physical Review Letters. 89・25. 257405(1)-257405(4) (2002)
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[Publications] T.Tohyama, S.Maekawa: "Doping dependence of chemical potential and entropy in hole-and electron-doped high-Tc cuprates"Physical Review B. (未定). (2003)
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[Publications] T.Tohyama, S.Maekawa: "Electronic excitations in the antiferromagnetic phase of electron-doped high-Tc cuprates"Physica C. 378・381. 178-181 (2002)
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[Publications] T.Tohyama, S.Maekawa: "Charge dynamics in electron-underdoped high-Tc cuprates"Journal of Physics and Chemistry of Solids. 63・12. 2357-2359 (2002)