2002 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系における強磁性と超伝導の共存問題の理論的研究
Project/Area Number |
14038213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 秀夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50114351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 亮太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80332592)
黒木 和彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (10242091)
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Keywords | 強磁性 / 超伝導 / スピン揺らぎ / QMC / 動的平均場近似 |
Research Abstract |
強磁性と超伝導は、従来水と油の関係といわれてきたが、場合によっては、両者が共存する可能性が実験的、理論的に提案されている。我々は、本年度の研究において、Hubbard模型のような微視的模型において、実際にこのような共存が起こり得るのかについて理論的に検討した。強磁性と共存する超伝導は、スピンに関して、tripletであることが期待されるが、このtriplet超伝導は、singlet超伝導と比べて一般に非常におこりにくいことが知られている。我々は、まず、三角格子上のHubbard模型では、このtriplet超伝導が、フェルミ面の非連結性によって、特に低密度領域でfavorされることを示し、さらに、磁場をかけると、この超伝導転移温度がさらに増大する可能性を指摘した。計算には、近年、強相関多体効果を系統的に取り入れる方法として注目を集めている動的クラスター近似に、量子モンテカルロ法を組み合わせることによって行った。この結果は、Kirkpatrickらの現象論と比較すると非常に興味深いものと思われる。 このほか、有機超伝導体BEDT-TTF系での超伝導のpairingの対称性についての考察や、3次元多バンド系におけるinter-band nestingによる超伝導の考察などを行った。また、フェルミ面の非連結性に由来する、高い転移温度の超伝導については、dimer-array格子とよばれる格子系で、通常の正方格子に比べて10倍程度高い転移温度の超伝導が実現する可能性を指摘した。これらの超伝導と、強磁性や磁場下でのスピン偏極との共存の問題については非常に興味深く、今後の課題といえる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Kuroki, T.Kimura, R.Arita, Y.Tanaka, Y.Matsuda: "d_x^2-_y^2-vs.d_<xy>-like pairings in organic superconductor κ-(BEDT-TTF)_2X"Phys. Rev. B. 65. 10516(R)-1-10516(R)-4 (2002)
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[Publications] S.Onari, K.Kuroki, R.Arita, H.Aoki: "Superconductivity induced by interband nesting in the three-dimensional honeycomb lattice"Phys. Rev. B. 65. 184525-1-184525-6 (2002)
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[Publications] K.Kuroki, T.Kimura, R.Arita: "High-temperature superconductivity in dimer array systems"Phys. Rev. B. 66. 184508-1-184508-4 (2002)
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[Publications] R.Arita, K.Kuroki, H.Aoki: "Triplet superconductivity in the repulsively interacting electron system on a triangular lattice : a possibility of magnetic-field-induced superconductivity"Physica B. (印刷中).